2009年5月30日土曜日

日本人が働きすぎという時代は終った

毎日のニュースで働き場を追われた人達の事が数字で発表される。
これは確かにつらい現実の問題だと思う。

私は長年いつも注意して見ている事がある。それは商店の店頭に『アルバイト募集 時給○○円』という求人広告の下げ札のかかり方の様子である。これが多くなってくると「今、求人は難しいな」と考え、それがあまり見当たらなくなってくると「今なら求人出来るな」と思ってきた。

零細小売店はみなそうかも分からないけど(書店)などという荒利の少い小売業は人件費にも限界があり、いつもそれを注意していないとやってゆけないのが現実である。
テレビや新聞でこんなに人が余っているのに手間がなくて困っている所が今現在も沢山ある。勿論、職種を選ぶのは当然だと思うし、より安定した職場を望むのも私にもよく分る。
でもなぜか、人余り時代というのに人手不足の所が多いというのは何がそうさせているのだろうか。
私は求職者の事を詳しく調べた訳でもないのでよく分らないというのが本当のところである。

私は生まれた時から戦争していたし戦争の中で育ち物心つきかねた時、敗戦により占領下の中で小・中・高を過ごし高校三年の秋、やっと独立国になった。そんな時代に国民が生きてゆくには働かなくてはならなかった。

又、衣も食も住も自分の手を使わざるを得なかった。
例えば学校の制服も古着を染めて手造り。食事は貧しいながらも色々考え、米の粉を石臼で引いて作りおだんごを造るとか。雨漏りがすれば屋根瓦を置きなおして自分で修理する。停電すれば開閉器を開けて自分でヒューズを直す。季節が変る毎に母は子供の為の着る物を縫ったり編んだりして準備する。子供もそれを手伝いながら方法を覚えてゆく。
こんな少女時代をすごした人間にとっては当り前と思う事が時々出来ない若者に出会ってとまどう事があった。例えば店の蛍光灯が切れた時「取りかえてほしい」と云うと「やり方が分らない。やった事がない」という大学生に何度も出会って驚いた。そして更に先輩達は「普通ですよ、みんな出来ないですよ」とすました顔をしているのに又、驚いた。
これはほんの一例。手を使って何々をするという事がほとんど未経験の人間が増えてきた。

ものづくり日本と胸をはって云えるのは丁度今、定年退職してゆく年代までのような気がしてきた。
器用な人間が減ってしまった。
もちろん例外もあるが総じて気力に乏しく外見を飾り立てる事しか力を注がない人間がふえてきた。じっくり本を読むという若者が減ってしまった。

東南アジアの中で群を抜いて優秀な技量経験やる気を持っていた日本人はそろそろ第一線から消えてしまいそうな不安も感じる。教育が原因だったのか少しばかり成金(高度成長期)になったおかげで貧困時代を忘れたのか分らないけどもっと日本人は誠実に働くという事を思い起こそうではありませんか。
働くという事を忘れないでほしいです。

私は何度も書くが休日が多すぎます。
高速道路のどこまでも¥1000というのも休日だけというのは間違っていると思う。普通の日こそ値下げして物流の車を楽にしてしかるべきだと思います。
政府が率先して遊ぶ時間を提供しなくても日本人は遊ぶ人は充分遊んでます。
本当に困ってる人の事を少しばかり選挙のためにあちこち周っても真実はつかみ切れておりません。日本人はもっと働く事に意義を見出そう
内面の充実に力を注ごう。それには先ず本を読む事です。

私の好きな本を並べてみます。
興味のある方はぜひ、読んでみて下さい。

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「午後の曳航」
改版
新潮文庫
三島由紀夫/著
出版社名 新潮社
税込価格 380円












「駅路」
改版
新潮文庫 傑作短編集 6
松本清張/著
税込価格 660円












「容疑者Xの献身」
東野圭吾/著
出版社名 文芸春秋
税込価格 660円












「ダブル・ファンタジー」
村山由佳/著

出版社名 文芸春秋
出版年月 2009年1月
税込価格 1,780円








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2009年5月23日土曜日

立原正秋のグルメ本

「美食の道」
立原正秋/著

出版社名 角川春樹事務所
税込価格 714円


昭和40年週刊新潮に連載されていた鎌倉夫人を見つけて読み始めたのが運命的だった。好きな作家はと聞かれたら立原正秋と云う。私が気がついたのが著者 39才の時。そして食道ガンで亡くなられたのが54才。若すぎる死であったと思う。たった15年間だった。まさしく働き盛りの15年間であったとは云え作家の寿命はこんなに短いものかと思ったのを覚えている。

立原正秋のどこが好きかと問われたら気品のある華麗な文章、そして陶然とさせられる美意識であろうか。更に云えばその立ち姿の美しいこと、これも魅力である。

私の一番最初のブログは立原正秋で始まった。

今週はグルメ作品ばかりである。
立原正秋全集(角川書店)の中では24巻エッセイⅢの雑篇に入っている。

先ず鰺のたたきからはじめよう。
東京にでた時、ある出版社の編集者に連れられて鰺のたたきの美味しいという店に行った。「客の前でたたくのです」とその編集者は云った。なるほど、目の前でたたいてくれたが私は鰺を見た途端いやになった。鰺が大きいのである。色つやも良くなかった。たたいたのを皿に盛り小皿に薬味を入れてくれたがやはり駄目だった。鮮度が落ちているので生臭い。生臭さを消すために薬味をそえられているような鰺だった。難しく考えてはいけない。どだい鰺のたたきを都会で食べよ うという事が無理である。東京で売っている魚は前日あがった魚である。そこを考えなくてはいけない。
つまり鮮度がよくなくてはたたきはつくれないと書いてある。

鰯の刺身もこれ又絶妙である。頭をおとし腸を出しさっと水洗して骨を抜く。鰯は身がやわらかいので骨はすぐ抜ける。これを生姜醤油で食べるか浅葱をそえてもよい。
こうした食べ方はひとつの風物詩で料理学校でやれ鰯の南蛮漬だ、カレー粉をまぶして揚げたらよいのとか色々工夫したのを雑誌のカラー写真で見かけるがあんなのを食べ続けていたら日本人の味覚は落ちてゆく一方だろう。

私はこういう文章に魅かれる。本当にその通り。
要は生に近い食べ方(さしみ等)が一番美味しいという事を魚場育ちの私は身について知っている。ごたごた手を加えると本来の美味しさが消えてゆく。それにしても鮮度が大切。鮮度が良ければ全てよしと云ってもよい。
私が横浜へ来たての頃、魚屋の店頭の魚の鮮度が悪くて買う事ができなかった。
今はならされて来たけど。
素麺のこと、そばのこと、梅酢のこと、酒の燗のこと。

酒 の燗は沸かした湯をいったん他の容れ物に移してそこで燗をするのが酒を一番美味しく飲む方法である。小さなやかんに酒を入れてじかに火にあてるとどうも味 が苛酷になっていけない。わいているやかんに徳利を入れるのも良いがこの方法だと急激に温まっていけない。酒はゆっくり温めるのが一番美味しい。
私も夫の生きていた時よく叱られてやっと出来るようになった頃、夫は亡くなってしまった。

30才以下の人はどう思われるか分からないが
家庭で作らなければ美味いものは出来ない
と云っている立原正秋がコンビニ弁当を知ったら何と云うだろう。

私は料理は自分(又は自分の家庭)の美味しいものを食べたいための創作料理だとこの頃思うようになった。創作品は総して男性の方が一枚ウワテである。
男の料理人が多いのも頷ける。
作家とか美術家に料理のうまい人が多いのもよく分かる。
味覚はとても大切だ。味覚はその人の性格を形成し大げさな表現をすれば品性にも関係する。人格も育てる。食育という言葉がはやっているがとてもよい事だと思っている。
基本を失わず食材の旨味を100%食べたい。それには魚でも野菜でも鮮度につきる。
都会生活では便利になったように見えるが新鮮な食材を入手するには大変な時代になった。

立原正秋の住んだ鎌倉は海あり、山あり、そして品位ありの場所である。地場のものが手にはいりやすい所である。

料理本はあり余る程出版されている。どれを見ても美味しそう。そしてすぐに出来そうな気がするけれど私のように時間貧乏の人間には本を見て満腹するばかりである。

作家の書いた料理本を紹介しておきたい。
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「ダンディな食卓」
吉行淳之介/著

出版社名 角川春樹事務所
税込価格 714円










「魯山人の食卓」
北大路魯山人/著

出版社名 角川春樹事務所
税込価格 546円










「旨いものはうまい」
吉田健一/著

出版社名 角川春樹事務所
税込価格 714円












「食の王様」
開高健/著

出版社名 角川春樹事務所
税込価格 693円













「酒食生活」
山口瞳/著

出版社名 角川春樹事務所
税込価格 693円











「巷の美食家」
開高健/著

出版社名 角川春樹事務所
税込価格 714円












「わが食いしん坊」
獅子文六/著

出版社名 角川春樹事務所
税込価格 714円








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これらの文庫本はハンドバックにしのばせておき電車の中等で適当に開いて読めばとても楽しい。総じて作家のグルメ本はその文章に惹かれる。そして本質をぴっちりつかんでいる。
食物がドンドン変化している時代に味覚も変化してゆく事だろう。
一番大切な事は子供の時の食習慣だと思う。
出来あいの食べ物ばかり食べさせられて成人していく人間は気の毒だと思う。
一生を通して食に対する感覚が劣えてしまうだろう。
食は人生なり、おろそかにすべきではありません。

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〒231-0055 神奈川県横浜市中区末吉町1-23
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2009年5月16日土曜日

戦はまだまだ続く

気がつけば私は55年間”本”を売る商売の中で生きてきた。最初の2年間は英語しか通じないアメリカンネービーがお客様だった。その後1956年にイセザキ書房を設立して本格的に書店として横浜伊勢佐木町で開店した。一月に開業しその年の6月に長男誕生。27才の夫で22才の妻は何も分からぬまま周囲の人達に教えていただきながらのスタートだった。経験なし。資金ギリギリ。
あったのは夢とやる気だけだった。
周囲は40代、50代のバリバリの商売人達の中でとても危なげに見えていたらしい。55年間は短くなかった。よく続けられたと思う。きびしい夫に心身共にたたかれながら鍛えられた。苦しみ、もがきつつ手にした船舶市場は私は神からの贈り物だったと思っている。南氷洋の捕鯨船、北洋の鮭鱒漁業の出港時には6台の2t車がフル活動して本を運んだ。当時の取引問屋の部長さんがこんな小さな店でどうしてあの大きい売上が出るのかと不思議がった。


出版界も好況だった頃とは云え平凡社の国民百科(1セット1万円)更に世界百科(1セット12万円)を船市場で懸命に売った。自社月販でやったけどとりはぐれはほとんどなかった。
お客様の自宅は全国にわたっているので毎日毎日梱包して日通で発送した。(当時は宅配便は無かった)おかげで書店の中では全国第2位の成績で平凡社から表彰を受けた。
もう文字通り無我夢中の毎日であった。夫も私も従業員も。
しかし夫は働き盛りの50才前後頃から体調をくずし64才で亡くなるまで7~8年間は入退院の繰り返しし状態に陥った。日航機が御巣鷹山で事故を起した日、取引先の三光汽船がつぶれた。売掛金の交渉に三光汽船から部長さんが来店した時、私はそれどころではなく夫の食道ガンの手術を前にして「全部さし上げます」と云ったら「イセザキ書房が一番理解を示してくれた」と云ったが理解も何もない。私は夫の生死をさまよう姿を前になす術はなかったのであった。
苦しかった、本当に辛かった。

私は独りになってから一年間位何をどうしてよいか分からなくなってしまった。そんな時、当時の問屋の横浜支社長さんから「頑張らねばいけません、奥さんやれますよ、しっかりして下さい」と励まされ目が覚めた。
それから私は周囲の景色が変わって見えるようになり5年間位、北海道から九州まで飛行機と新幹線を利用して書店見学を始めました。最後にアメリカへ行き書店のあり方を学ばせられた。「書店が本を並べているだけの空間では満足出来ず、まず店全体の風景を考えるようになりその結果壁面は天井まで本を並べ棚はすべてグリーン、そこへ真っ赤な梯子をつけた。


それから私は手当たりし次第にセミナーに出掛けた。セミナーの受け方もプロ級になり講師の良し悪しも(私にとって)分かるようになった。一つのセミナーで5~6名の講師がいてもたった一人だけでよいから私に何かを学ばせてくれる人を探した。又、講師にもレベルのある事もだんだん分かってきた。36年間夫という先生にしごかれながら私は教育を受けた。「下手な大学に行く位なら俺が教えてやる」と云って歴史をはじめとし人生万般に亙って私は夫の教育を受けて成長した36年間だったと今にして思う。夫の命令通り唯、ワーカーとして働いていた時と異なり考えねばならぬ事、判断しなくてはならぬ事悩まねばならぬ事が沢山出てきてきた。そして世の中の変化も肌で感じられるようになった。
そうして考えはじめると書店という存在は社会の中で大変必要な商売であるけれどその規模は総じて小さい。日本一の書店と云われる店でも他の産業と比較すればまことに小さい。中には経営者としても商人としても立派な人も私の近くにはおられた。夫も私もその方を尊敬していた。

出版業界と一口に云っても出版社 取次(問屋)そして小売店と三種類ある中で小売店はほとんど零細企業。政治や社会を動かすようなパワーは持っていない。
メーカー(版元)→問屋(取次)→小売店(本屋)川下へさがる程、総合的な力は弱い。勿論例外はあるが。そして今、出版不況と云われて久しい。昔から人間に最低必要なものは読み・書き・そろばん、そのすべてが機械にとって代えられた。特にインターネットの普及によって更にその度は強まった。
最近、雑誌と云われる分野の落ち込みが激しい。一つは町の本屋が立ちゆかなくなって閉店し大型書店中心になった事に起因する。更に人件費の高騰により配達という事がやりにくくなった事も原因だ。そして廃刊に追い込まれる雑誌が多くなった。出版社も何とかして売りたいので色々考えていると思う。その一つが付録という存在。付録の魅力で読者を惹きつけようとして「これが本の付録なの?」と思うような物が付いてくるようになった。出版社も色々考えて売り上げにつなげたいから当然かも分からない。
私はもう何年も前からこの付録の事で云いたい事があった。一般の方には理解し難いかと思うけど付録をはさんで、紐でくくって陳列するのだが、この付録づめの作業は大変な労力を要する仕事である。
55年間本屋を黙々とやってきて残り時間も少なくなりかけた頃だけど思い切って申し上げたい。これはメーカーである出版社の作業であると。云ってみればメーカーは半製品のまま出荷しているようなものだと私は考える。一冊づつセットにして完成品にして小売店へ流通させるべきだと思う。かつて幾度も問題になったけど未解決のまま。力の弱い小売店にすべて押しつけられて当然と思っている。

紐の代わりに輪ゴムを改良したような付録つけ用の道具が考えられそれを取次ぎは有料で小売店へ販売している。能率のアップのために・・・と宣伝して。私は申し上げたい。小売店へ売るのではなく版元へ売るべきではないでしょうかと。出版社は大切な商品なら小さな付録も一つ残さず本誌と共に読者の手に渡せるように完成品にするのは当然ではないだろうか。例えば袋に入れるとか、方法は色々あろうが。半世紀前私が若かった頃は付録も文字通り付録だったが現状の実態はひどすぎる。

又、休日だから連休だからと云って週刊誌は合併号として半分期限切れになりそうな雑記事で量だけ多くして出してオシマイ。書店は場所にもよるが休日でも連休でも休める店は少いと思う。又、開店してもそんなに売り上げのとれない場所もある。休日の多すぎる事が原因だから出版社は休日は無視して決まった曜日に出すべきだと私は思う。出版社は大体9時~5時週休二日体勢だと思うけどもうそんな事云ってる場合ではないと思う。休日と云えば車を走らせ地球環境を悪くする事ばかり宣伝していていいのだろうか。次の連休はこの本を読もう、休みが長いので長編小説を読もうというようなPRをした版元があるだろうか?
自分を捨てて社会に貢献しよう
世の中を活性化させよう
というような気風が失せてしまった事を私は嘆かわしく思う。

50年以上ほとんど休みなく12時間労働を続け、たしかに苦しかった。でも私はやっぱり本屋であって良かった。私の店から出た本が世界中の港に送られ日本船舶の乗組員の読者に喜んで読んでいただけるという事を私はこの上もなく誇りに思っている。ソマリヤ沖の海賊の問題でも私は自分の事のように心を痛めている。



島国日本では海運業に支障が起きたら平和な生活は何もできなくなるという事を私達は忘れてはいけない。その第一線で体をはって働いておられる人達の大部分がイセザキ書房から出てゆく本を待っていてくれている。それを思うとそれだけで私は生きている事に感謝したい。戦いはまだまだ続くけれど。

※地図参照
「’09 今がわかる時代がわかる 
世界地図」
SEIBIDO MOOK
正井 泰夫 監修
出版社名 成美堂出版
税込価格 1,680円



「海賊モア船長の遍歴」
中公文庫
多島斗志之/著
出版社名 中央公論新社
税込価格 940円

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2009年5月9日土曜日

私のゴールデンウィーク

5月8日の日経新聞で「公務員ボーナス1割減額完全実施へ」と出ていた。
政府はやっとその気になったかと思う。同時に国会議員の歳費やボーナスはどうなったのかとすぐ思ったがその点は何もなかった。
人間だから自分の収入を減らす法律は難しい事なんだろうけど、ここはやはり議員さんも選挙で選ばれたのなら先ず一番にそこに手をつけていただければ国民の思いはうんと変ると思うけど。
選挙、選挙と騒いでるのは議員さんばかり。
国民はそれどころではないと状況下におかれている。

多すぎると云えば国民の休日(祝日と云うべきか)。
日曜日に当たったからと云って代休をつくる。もう何の日で何の休みか分からなくなってしまった。
唯、まだ休みなの、まだ続くの?と思う人が大部分である。
そして不便な思いをする人のいかに多い事か。

人間は群れたがる動物なんだろうか。
交通料金が安くなったという事で大変な混雑の中のあの車の列。
誰か決めたか知らないけれど高速料金の割引は環境重視の時代に逆行しているのではないか。
温暖化ガスを減らすなら電車やバスの公共料金のバックアップすべきだと私は思う。

何かパッと見てくれのよさそうな事ばかりに力を入れているようでやっぱり選挙目当と思われても仕方がない。

私には連休はないが最後の1日だけ店を休み私は墓参りに出掛けた。
三浦の土地が大好きだった亡夫の意を重んじて迷はず三浦半島の海の見える場所に、墓を建てた。亡夫は海を見て海風に吹かれ畠のある静かな墓地で眠っている。

◎妻と息子(こ)に人生の意義教え説き
     夫(つま)は静かに土に帰りぬ

◎懸命に六十余年生き終えて
     夫(つま)眠る墓に風吹き渡る

◎手を合わせ何を語ろう亡夫の墓
    香の煙は天にのぼりぬ

帰りの電車の中で内橋克人の共生経済が始まるを読んだ。

「共生経済が始まる」
内橋克人著

出版社名 朝日新聞出版
税込価格 1,575円

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2009年5月2日土曜日

2009年国家資格カレンダー

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いつの時代にも身に備わった力は自分自身を助けてくれるものです。
スキルをみがき、夢に向って進んでゆけるよう準備いたしましょう。
2009年度の国家試験予定表をお知らせいたします。
若い人は勿論ですが年令を重ねた方々も夢に向ってチャレンジして下さい。学ぶ心、向上心のあるかぎり老化現象は防げます。
限りある命の中で終わりなき学びの心を育ててまいりましょう。
さぁ、君も僕も貴女も私も燃えたつ心意気で生きてまいりましょう。
この試験に関する本は当方に在庫のない場合でもすぐに取り寄せますのでお申し込み下さい。




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2009年4月25日土曜日

暮しの手帖からオレンジページへ

私が高校1年の時、新任の英語の教師から「この学校の英語のレベルは低い」と云われ私は何とかしてこの汚名は挽回すべしと考え、友人の従弟に高松経専(現 香川大学経済学部)を出て新聞記者になっている人に頼んで私達仲良しグループの4名で毎週1回夜2時間位教科書の予習をお願いした。効果的面、予習して望めば英語の時間が楽しくなりテストの成績もぐんぐんあがった。時間的、精神的に余裕が出てくると学習の終った時に「先生!playing card?」と云うようになりトランプをして遊ぶようになった。そんな時先生の美しい奥様も加わりとても楽しくなった。
ある日、自室のテーブルの上に暮しの手帖がのせてあった。
私は初めて見るこの雑誌がとても新鮮に思えた。
そして専用のカバーをかけてあった。
うわぁ、綺麗な雑誌だとても珍しく眺めた。

私が知っている婦人誌は母が毎月買っていた「主婦の友」だった。私も時々読んでいた。ある時キューリー夫人伝が載っていたのを読み子供心に女でもこんなすばらしい科学者がいるんだ、私もこういう人になりたいなぁーと夢を見たこともあった。私の生まれた香川県(サヌキの国)という土地柄は戦前、戦中絶対的な男尊女卑だった。私は長子として生まれたので祖父母にとっては初孫という事で大事に大事に育てられたが二番目も女が生まれ三番目も女が生まれたときには父はともかく祖父は「又オナゴの子が」と云ったっきり見にも来てくれなかったと後年ずーっと母はあの娘は可哀想だったと云い続けていた。その三女が一番優しくて三人の中で一番美人に育ったのに。

そんな中で私にとって暮しの手帖はとても素晴らしい雑誌に思えた。新聞記者の奥さんでこんなにアカ抜けた女性はしゃれた雑誌を読んでるなと思った。特製のカバー付の雑誌。雑誌を大事に扱おうという出版社の意思を感じた。私の心の中に暮らしの手帖は素敵な思い出を残してくれた。

以来、私の人生にも様々な事が起こりキューリー夫人のようになる道は歩む事が叶わず暮らしの手帖ともいつしか遠くに離れていった。
私が再度暮しの手帳に会ったのはそれから7年たった1956年イセザキ書房を開店した時だった。二ヶ月に一度発売される暮らしの手帖は私の頭の中では別格の存在だった。そして広告頁が一頁もないという事を知りそれがどんなに立派な困難な事かその時には私の考えが及ぶところだはなかった。
「主婦の友」「婦人生活」「主婦と生活」「婦人クラブ」この4誌が長い間婦人誌(当時は女性誌という呼び名はなかった)の代表格だった。主婦が家事をこなし女の常識向上に役立った。季節に応じた記事が掲載され主婦のテキストみたいな存在だった。結婚したら「主婦の友」と云いながら既婚女性の雑誌としてバッチリみとめられていた。
私は専業主婦にはなれずに終りそうだけど暇な時パラパラとめくる程度だったけど。
今は四誌共廃刊されてしまった。

暮しの手帖は広告を全くとっていないので広告主に気をつかうという事が全くなく、次々出てくる新しい商品のテストはとてもシビアだった。それだけに大変参考になった。「暮らしの手帖の評価が高かったのでこれ買った」という読者も多かった。私も時間のある時は楽しみにして開いてみた。特に大橋鎮子さんの頁(本の真中あたりの黄色い紙の頁)「すてきなあなたに」というタイトルの頁は魅力的だった。年令は私より上だろうか、下ではなさそうだが・・・・などと考えながら分かり易い筆運びとその内容に魅かれた。パリへ出かけるのもつい一寸そこまでという感じの旅行記。羨ましかった。
花森安治と名コンビで始まりずーっと一緒に歩いてきた。そして花森氏亡きあともその編集方針は変えることなく私達に生活の便利さ、知恵と生き方の合理性を教えてくれた。

私は書店をやりながら収益の事も考えながら、生活という人間の基本的な幸も求めてやまなかった。読書時間もなかなかとれなかったけどいつかきっとゆっくり読む時が出来るまで・・・・と考えて毎号一冊づつ店から買ってためておいた。一冊、一冊居間の棚に並べるだけで満腹感を味わっていた。
料理の頁、俳句の頁、短歌の頁、染めものの頁、花の育て方、生け方、飾り方の頁、子供の遊び道具の頁、ニーチキンの積み木の作り方の頁、おしゃれの頁(とっても役立つ実用的且つ美しい)カヌーの作り方という頁もあった。
フリープランという賃貸住宅の頁ではせまい公団住宅をワンルームにして広さを感じさせる術もあった。演劇類の話もあった。佃の渡しのお咲の役の二代目水谷八重子の若さと美しさ。島田正吾のうつりの良さ。書けば切がない。私が若返った気分になってゆく。
そして時は流れて私は高令になった。世の中は新自由主義とかいう時代になった。共産主義、社会主義、民主主義あたりまではほぼ理解できるが新自由主義なんていうものは私にはいいのか悪いのか人間を幸にするのかどうか全くよく分からない。私も美容院に行けば待ち時間があるので雑誌を手に取る。ある日、たまたま目の前にあったオレンジページを手にして大して期待もせずパラリパラリと開いた。週刊誌のような300円足らずのこの雑誌は売ることばかりはして来たが読んでみようと思った事がなかった。週刊新潮や週刊文春は手にとっても。



出版社名 オレンジページ
税込価格 310円


私が60年前に暮しの手帖をはじめて見た時に似た感動が走った、驚いた。素晴らしい雑誌ではないか。本屋をやっていながらこんな素晴らしい本を見落としていたなんて恥ずかしい。毎日毎日、必要な手料理の頁の出来の良さ、嬉しかった。

私は出来るだけ自分の食べるものは自分で作りたいと考えるように又なった。魚場で育った私は魚料理は自分でさばき煮たり焼いたりしたい。亡夫が食べ物にとてもうるさかった人なので(食通ではないが)子供の頃から食べて来た食べ物が美味しいと思う男であった。5品位はおかずがないと機嫌が悪かったので何とか夫に喜んでもらいたい一心で食材を選びお手伝いさんの手を借りながら亡夫の好物を一生懸命準備した。でも独りになってからは気が抜けてしまって誰も喜んでくれないし私一人のために労力を使う気になれなかった。もう十何年荒っぽい食生活になっていた。

入院したおかげで自分の体の事を考えるようになり美味しいものを食べたい、作りたいという気持ちになった。何十年もためていた高価な美しい食器も棚の奥で眼むらせてないでケーキを食べる時はこの皿で吸い物を食する時はこの椀で食べよう。お茶碗も好きで買ったこの茶碗に御飯を盛ろう。刺身を作ったときはこの大皿で並べようと思い出し棚の奥から客用にと考えて格納してあった高価な皿、小鉢を引っぱり出し手に届くところに置き直した。綺麗な皿に盛った煮物はいつもより美しくそして美味しい。
これはどの皿に盛ろうかと考えるのも嬉しくなった。オレンジページを発見したおかげでシンプルな料理も豊かな心で食べる術を覚えた。暮しの手帖の時代とは大きく異なる。雑誌の進化だと思う。
そして暮らしの手帖は今もずーっと続いている。
素晴らしいではないか。
雑誌の種類は何十倍も増えた。料理の事はオンパレード。男のためのものもある。男の人もきっと上手に作るだろうと思う。男子厨房に入るべしの時代になった。私はこういう時代だからこそ女性は謙虚になれと強く云いたい。私の生まれたふるさとの男尊女卑の時代には女性はもっと頭を使って強く美しくならねばならないと思っていた。今この時代だからこそ、女性よ謙虚になれ。そして男はもっと強くなって女性をしっかりリードすべしと叫びたい。

最近号の「すてきなあなたに」に書かれている大橋さんの一文を記しておきたい。時代は理解出来るかと思う。
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「ある日、通りかかった道で引き売りの魚屋さんを見つけました。長年なじみだった魚屋さんが店を閉めてしまって困っていたところでした。「家にも寄ってもらえませんか」「いいですよ火曜と金曜の夕方だけど・・・」場所を教えて来てもらいました。「ブリ、厚めに切って頂ける?」「オーケーこのくらい?」目の前で包丁を取り出して切ってくれます。「今度大きいカキ頼めるかしら」「いくつくらい」「15個くらいかな」コンビニには置いていない鮮魚がこうして買えるようになりました。今まで話しながら買い物できるのは個人商店だけと思っていました。でもそうでもありません。言ってみるものです。嬉しい発見でした。

(暮しの手帖39春107~106頁から文章抜粋)

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時代は止まる事なく動いている。



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少し昔をしのんでみたい折には一冊いかがですか?
一冊¥500(税込)です。

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2009年4月18日土曜日

紙芝居は人生道場

自転車に舞台をのせて街へやって来た紙芝居屋さんの事を知ってる人はそんなに多くはないでしょう。そこで、何銭かの飴を買いそれを舐めながら紙芝居を観た記憶のある方はうんと少ないででしょう。飴を買うお金が無いので真前に行けず陰からそっと覗いていたら「○○君、飴買って無いんだから見れないよ」と友達に言われくやしい思いをした子供もいましたね。格差という言葉はなかったけどいつの時代にも恵まれた子供、そうでない子供はいたんですね。そのくやしい思いをした子供が学校の成績が良かったりしましたよね。

紙芝居は日本独特の文化です。今は幼稚園、保育園で観せてもらってると思います。そして更にお家でお母さんに演じてもらって何度も何度も演じているうちに子供の方が覚えてしまって「お母さん間違ったよ」と云ったりして。
又、観客は子供ばかりでなく今は老人ホームとかお寺とか町内会の集まりとか企業の教育用、宣伝用等にも紙芝居が利用されております。老人ホームのお年寄りが紙芝居を観ながら涙を流したりいたします。ストーリーの感激による涙ばかりではなく昔若かりし頃幼かりし頃を思いだし懐かしむ涙なんですね。大きな癒しになっております。

絵本よりも読み聞かせし易く観る側も一寸したお芝居気分も手伝って静かな拡がりを見せております。種類は限りなくありますがその中で私共イセザキ書房でよく売れているもの、又演じて好評のあったものを一覧表で並べてみました。絵が出せなくて残念ですがタイトルからほぼ想像していただけると思います。


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もっと多く詳しく絵もご覧になりたい方はメールとか電話で御連絡下さればカタログを差し上げます。
100年に一度の経済危機が世界を襲い金融資本主義を生み出した新自由主義の弱肉強食のこの時代に私達はお金の前に先ず優しい心、他人への労わりの気持ち、そして誠実に生きる術を学ばねばならないと思います。
紙芝居は難しい事は何も云えないけれど皆人間として持たねばならない生きる生き方を巧まずして語りかけ心の中に響かせてくれる立派な人間教育の教材です。色々な場所で御利用いただけますようお願いいたします。



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