日本映画に活気があった古きよき時代。
ゆったりと時が流れてゆく中に身をおいて、若くて少なくとも今よりは夢があった頃に一瞬でも思いを馳せてみませんか?
「青い山脈」
キャスト : 原節子/池部良/伊豆肇/木暮実千代/龍崎一郎/若山セツコ/杉葉子/薄田研二/藤原釜足
スタッフ : 監督:今井正/製作:藤本真澄/原作:石坂洋次郎/脚本:今井正/井手俊郎/撮影:中井朝一/美術:松山崇/音楽:服部良一
内容 : 石坂洋二郎文学の大ヒット作である小説「青い山脈」を社会派監督今井正が映像化した作品である。同名の主題歌も戦後の歌謡史に残る国民的愛唱歌として、一世を風靡し、世代を超えて多くの人々に受け入れられた人気作品。古臭い制度や考え方がはびこる田舎町を舞台に、自分の意見をはっきりと主張する若い女教師を主人公に、その主人公に味方する校医、そしてイジメにあう女子校生とそれを助ける青年、狭い街で展開する事件は、女子校内でイジメの手口としてニセのラブレターが届けられ、それを問題視した女教師も敵視されるという現代にも通じる要素を含んでいるが、それでもなおこの作品はさわやかな青春映画である
「また逢う日まで」
受賞 : ブルーリボン賞/監督賞/作品賞
キャスト : 岡田英次/久我美子/滝沢修/河野秋武/風見章子/杉村春子
スタッフ : 監督:今井正/製作:坂上静翁/脚本:水木洋子/八住利雄/撮影:中尾駿一郎/美術:河東安英/音楽:大木正夫/照明:平田光治/録音:下永尚
内容 : 社会派の巨匠・今井正監督が岡田英次、久我美子主演で描く恋愛映画の傑作。あまりにも有名なガラス越しのキスシーンは日本映画史に輝く名場面として今なお語りぐさとなっている。深く愛し合った二人が戦争という時代の波の中で否応もなく引き離される姿を通して戦争の非人間性を静かに力強く訴える。昭和18年。戦争まっただ中の日本。空襲警報の鳴り響く地下鉄のホーム。ここで三郎と螢子は初めてであった。狂気の時代にあって人間的な心を通い合わせた二人はたちまち恋に落ちるのだったが……。
「地獄門」
受賞 : アカデミー賞/衣装デザイン賞(カラー)/名誉賞 カンヌ国際映画祭/グランプリ
キャスト : 長谷川一夫/京マチ子/山形勲/黒川弥太郎/坂東好太郎/田崎潤/千田是也/清水将夫/石黒達也/植村謙二郎/清水元/荒木道子/南美江/毛利菊枝/香川良介/荒木忍/沢村国太郎/殿山泰司/水野浩/南部彰三/近衛敏明
スタッフ : 監督:衣笠貞之助/製作:永田雅一/原作:菊池寛/脚色:衣笠貞之助/撮影:杉山公平/美術:伊藤憙朔/音楽:芥川也寸志/技術監督:碧川道夫/助監督:三隅研次
内容 : 都で起こった反乱から上皇とその妹を逃すため、平康忠は身代わりの女・袈裟を荷車に乗せて盛遠を護衛に付けた。ところが盛遠は夫がある身の袈裟に惚れてしまい……。最優秀外国語映画としてアカデミー特別賞の他、カンヌ映画祭グランプリを獲得している。原作は「袈裟の良人」。
「一人息子」
キャスト : 飯田蝶子/日守新一/葉山正雄/坪内美子/吉川満子/笠智衆/浪花友子/爆弾小僧/突貫小僧/高松栄子/加藤清一/小島和子/青野清
スタッフ : 監督:小津安二郎/原作:ゼームス・槇(小津安二郎)/脚本:池田忠雄/荒田正男/撮影:杉本正次郎/美術監督:浜田辰雄/衣裳:斎藤耐三/音楽:伊藤宣二/演奏:松竹大船楽団/音響効果:斎藤六三郎
内容 : 小津安二郎監督のトーキー第一作であり、晩年加山雄三主演の「若大将シリーズ」等で活躍し、活発な明るいお婆さんのイメージが強く残る飯田蝶子母親役を演じ、一人息子の成長だけを楽しみに、貧しい生活に耐えながら、一人子供を育て上げ、最後まで成長した息子と一緒に暮らすことを夢見ながら生き続ける女を演じきっている。子供に期待する親とその期待に応えられず悩む息子の姿を描き、人間誰もが一度は直面する問題を描いた作品である。平凡な人間の人生の一断面を切り取ってみせる小津作品の特徴が初期のこの作品にも顕著に見て取れる。
「戸田家の兄弟」
キャスト : 高峰三枝子/藤野秀夫/葛城文子/吉川満子/斉藤達雄/三宅邦子/佐分利信/坪内美子/近衛敏明/
スタッフ : 監督:小津安二郎/脚本:池田忠雄/製作:磯野利七郎/撮影:厚田雄治/美術:浜田辰雄/衣裳:斎藤耐二/編集:浜村義康/音楽:伊藤宣二
内容 : 上流階級である戸田家の当主が亡くなり、残された妻や子供達とそれぞれの家族が右往左往しながら、父親の一周忌を迎えるまでの経緯を描いた作品である。生活のため夫が家に残した書が骨董の類を売り払うことになったり、兄弟それぞれの思惑が違う中で、上流階級らしく上品な言葉で交わされる言葉の真意やそれぞれの立ち振る舞いの裏にある隠された部分が、高橋三枝子、桑野通子、三宅邦子といった当時を代表する女優達により、表現されており、特に現在では女優の資質と共になくなってしまった一種の品の良さが漂っているところは、見所の一つである。
「父ありき」
キャスト : 笠智衆/佐野周二/津田晴彦/佐分利信/坂本武/水戸光子/大塚正義/日守新一/西村青児/谷麗光/河原侃二/倉田勇助/宮島健一/文谷千代子/奈良真養
スタッフ : 監督:小津安二郎/脚本:池田忠雄/柳井隆雄/小津安二郎/撮影:厚田雄治/美術監督:浜田辰雄/衣裳:斎藤耐三/編集:浜村義康/音楽:彩木暁一/演奏:松竹交響楽団/音響効果:斎藤六三郎
内容 : 小津安二郎監督作品と言えば、真っ先に名前が浮かぶ俳優・笠智衆が主役の父親を演じた作品である。東京で学校の先生をしながら一人息子を男手一つで育てていた父親が、先生をやめ故郷に引っ込むが、再び小学生の子供を残したまま東京に出て、その後離れ離れの生活が続き、やがて、大学を卒業した息子(佐野周二)と再会するという物語である。多くを語らずとも、父と子の互いを思う愛情が伝わってくるのは、小津作品ならではの見所である。セリフやナレーションに頼らず映像中心に登場人物達の心情を描く映画ならではの良さを堪能できる作品である。
「長屋紳士録」
キャスト : 飯田蝶子/青木富夫/河村黎吉/笠智衆/坂本武/吉川満子/小沢栄太郎/三村秀子
スタッフ : 監督:小津安二郎/脚本:池田忠雄/撮影:厚田雄治/音楽:斉藤一郎/美術:浜田辰雄/
内容 : 小津安二郎の戦後第一作監督作品である。戦後間もない東京には、戦争で親を亡くした戦災孤児がたくさん居たが、その中の一人を拾ってきた男(笠智衆)は、その子を女(飯田蝶子)に預けてしまう。女はその子が疎ましくて仕方がないので、どこかに置き去りにしようとするが、なかなかうまくいかない。そのうち、その子供に情が湧いてきて、二人の間に、実の親子のような絆が生まれてくる。しかい……。段々と子供に対する気持ちが変化する経緯を小津の演出で、そして飯田蝶子の演技力で、魅せる作品。懐かしい昔の東京の風景と共に、心に残る作品である。
「風の中の牝鶏 」
キャスト : 佐野周二/田中絹代/村田知英子/笠智衆/坂本武/高松栄子/水上令子/文谷千代子/長尾敏之助/中川健三
スタッフ : 監督:小津安二郎/製作:久保光三/脚本:斎藤良輔/小津安二郎/撮影:厚田雄春
内容 : この作品も「長屋紳士録」同様、戦後直後ならではの題材が基になっている。戦争で夫を亡くしたと思って再婚したり、他の男と暮らしているところに、夫が復員してきたりといった悲劇はたくさんあったようですが、この作品の主人公である妻(田中絹代)と夫(佐野周二)も、いつまでも戦争の傷跡を引っ張ることになります。お互いに愛し合っているのに、忌まわしい過去の過ちのために、昔に戻れない夫婦。田中絹代が日本映画界において、名優と称される理由が子の映画を見れば納得できるでしょう。カメラワーク等、いつもの小津作品とは違う作風なのも見所です。
「晩春」
キャスト : 笠智衆/原節子/月丘夢路/杉村春子/青木放屁/宇佐美淳/三宅邦子/三島雅夫/坪内美子/桂木洋子/谷崎純/高橋豊子/紅沢葉子
スタッフ : 監督:小津安二郎/製作:山本武/原作:広津和郎/脚本:野田高梧/小津安二郎/撮影:厚田雄春/美術:浜田辰雄/衣裳:鈴木文次郎/編集:浜村義康/音楽:伊藤宣二
内容 : 「東京物語」と並ぶ小津安二郎監督の代表作で、結婚をめぐる父親と娘を題材にした感動作である。笠智衆と原節子の共演第一作で、鎌倉を舞台に、妻を早くして亡くした大学教授の父と、27歳になってもそんな父親を一人残して嫁に行く気にはなれない娘。そして二人のことが気が気でなく何かと世話を焼く叔母(杉村春子)。父と娘の親子愛を中心に、二人を取り巻く人々の人間模様を、小津監督独特の手法で、淡々と描きます。杉村春子のコミカルな演戯、月岡夢路のはつらつとした演戯、そして何といっても、原節子の表情の変化と笠智衆の渋さ、ラストシーンの父親の背中に全ての思いがこめられています。
「麦秋」
受賞 : ブルーリボン賞/主演女優賞/助演女優賞/監督賞
キャスト : 原節子/笠智衆/淡島千景/三宅邦子/菅井一郎/東山千栄子/杉村春子/二本柳寛/井川邦子高橋豊子/高堂国典/宮口精二/志賀真津子/村瀬禅/城澤勇夫/伊藤和代/山本多美/谷よしの/寺田佳代子/長谷部朋香/山田英子/田代芳子/谷崎純/佐野周二
スタッフ : 監督:小津安二郎/製作:山本武/脚本:野田高梧/小津安二郎/撮影:厚田雄春/美術:浜田辰雄/衣裳:斎藤耐三/編集:浜村義康/音楽:伊藤宣二
内容 : 巨匠・小津安二郎監督を代表する傑作の1本。結婚にあまり興味のない娘と、そんな娘に早く結婚してほしいと気を揉む家族を中心にさりげない日常をユーモアを織り交ぜ淡々と細やかに描く感動作。敗戦後わずか6年の作品とは思えないモダンな息づかいには驚かずにはいられない。北鎌倉に住む間宮家では適齢期を過ぎた娘紀子の結婚が何より気がかり。当の紀子は大手の会社で秘書として働き、いまだのんきに独身生活を楽しんでいる風だった。やがて、そんな紀子に縁談話が立て続けに舞い込むのだったが……。
「お茶漬けの味」
キャスト : 佐分利信/木暮実千代/鶴田浩二/笠智衆/淡島千景/津島恵子/三宅邦子/柳永二郎/十朱久雄/望月優子/設楽幸嗣/小園蓉子/志賀直津子/石川欣一/上原葉子スタッフ : 監督:小津安二郎/製作:山本武/脚本:野田高梧/小津安二郎/撮影:厚田雄春/美術:浜田辰雄/衣裳:斎藤耐三/編集:浜村義康/音楽:斎藤一郎
内容 : 良家出身の妻(木暮実千代)といつも妻に馬鹿にされても自分のやりたいように振舞っている夫(佐分利信)。倦怠期を迎えたこの夫婦を中心に、彼らを取り巻く人々の人間模様を描いた作品である。淡島千景や津島恵子の美貌と共に、女性には、若かりし頃の鶴田浩二が観れるだけでも楽しめる作品かもしれない。題名の「お茶漬けの味」は、主人公の夫が、いつも遅く帰った夜に、女中に作ってもらって食べていた「お茶漬け」を映画のラストで、夫のことを見直した妻が、いつも馬鹿にしていた夫の好物を自ら作って食べさせるところからきており、全てを集約したこのシーンは、小津映画の名シーンのひとつである。
「東京物語」
キャスト : 笠智衆/東山千栄子/原節子/杉村春子/山村聡/三宅邦子/香川京子/東野英治郎/中村伸郎/大坂志郎/十朱久雄/長岡輝子/桜むつ子/高橋豊子/安部徹/三谷幸子/村瀬禪/毛利充宏
スタッフ : 監督:小津安二郎/製作:山本武/脚本:野田高梧/小津安二郎/撮影:厚田雄春/美術:浜田辰雄/衣裳:斎藤耐二/編集:浜村義康/音楽:斎藤高順
内容 : 日本映画を代表する傑作の1本。巨匠・小津安二郎監督が、戦後変わりつつある家族の関係をテーマに人間の生と死までをも見つめた深淵なドラマ。故郷の尾道から20年ぶりに東京へ出てきた老夫婦。成人した子どもたちの家を訪ねるが、みなそれぞれの生活に精一杯だった。唯一、戦死した次男の未亡人だけが皮肉にも優しい心遣いを示すのだった……。いまでは失われつつある思いやりや慎ましさといった“日本のこころ”とでもいうべきものを原節子が体現している。家でひとり侘しくたたずむ笠智衆を捉えたショットは映画史上に残る名ラスト・シーンのひとつ
「武蔵野夫人」
キャスト : 田中絹代/森雅之/山村聡/轟夕起子/片山明彦/進藤英太郎/平井岐代子/中村美那子/深見泰三/西田智/千石規子/大谷伶子/塩沢登代路/津山路子/安双三枝
スタッフ : 監督:溝口健二/製作:児井英生/原作:大岡昇平/脚色:依田義賢/潤色:福田恆存/撮影:玉井正夫/美術:松山崇/編集:坂東良治/音楽:早坂文雄/特殊技術:東宝技術部
内容 : 監督が代わって、演じる役柄が違うとこんなにも別人になりうるのかと改めて田中絹代という女優の凄さを見せ付けられる作品である。小津安二郎監督の「風の中の牝鶏」の常に夫の目を気にしている妻とこの映画における気品のある妻が同じ人物だとはとても思えない。武蔵野の良家出身の妻(田中絹代)とそれに引け目を感じている夫(森雅之)、妻の義理の弟(片山明彦)、隣に住む親戚の男(山村聡)とその妻(轟夕起子)を中心に展開される人間ドラマ。東映時代劇の名脇役として大活躍する進藤英太郎が父親役で出演しているが、この人もまったく違うイメージを創り上げており、これも見所のひとつである。
「お遊さま」
キャスト : 田中絹代/乙羽信子/堀雄二/柳永二郎/進藤英太郎/東良之助/南部章三/平井岐代子/金剛麗子/小松みどり
スタッフ : 監督:溝口健二/原作:谷崎潤一郎/脚本:依田義賢/撮影:宮川一夫/美術:水谷浩
内容 : 「細雪」などで著名な谷崎潤一郎文学の映像化であり、京都を舞台にしていることもあって、背景にさりげなく桜並木を配置したりと絢爛豪華な作品でもある。見合いの場で男(堀雄二)が一目ぼれしたのは、見合い相手(乙羽信子)ではなく付き添いの姉(田中絹代)の方だった。それに気づいた妹は、男に形だけの夫婦になることを提案し、結婚するが、それは姉のことを思ってのことだった。やがて、三人で旅行をしたり、仲良く外出をする姿が他人の噂に上がるようになり、妹夫婦が自分のために犠牲になっていると知った姉は二人の前から姿を消すのだった。田中絹代の不思議な魅力が活きている。
「祇園囃子 」
キャスト : 木暮実千代/若尾文子/河津清三郎/進藤英太郎/菅井一郎/田中春男/小柴幹治/浪花千栄子/石原須磨男/志賀廼家弁慶/伊達三郎/毛利菊枝/柳恵美子/小松みどり/小林加奈枝/大美輝子/橘公子/小柳圭子スタッフ : 監督:溝口健二/企画:辻久一/原作:川口松太郎/脚本:依田義賢/撮影:宮川一夫/美術:小池一美/衣裳:黒沢好子/編集:宮田味津三/音楽:斎藤一郎/助監督:弘津三男
内容 : 日本が世界に誇る映画監督・溝口健二が京都の花街・祇園を舞台に芸妓とそれを取り巻く人々の生態を細部まで徹底的に描き出した人間ドラマの傑作。祇園ではちょっと名の知れた芸妓・美代春の許に、母を亡くしたばかりの少女・栄子が舞妓志願にやってきた。栄子の熱意に負けた美代春は、彼女を引き受けることに。やがて、1年間の舞妓修行を経て、初めて店に出た栄子。ほどなく大会社の御曹司・楠田に見初められる。一方、美代春も楠田の取引先である神崎から言い寄られるのだったが……。 導入部こそ、エキゾティシズムを意識したような視線で描かれるが、そこから先は溝口監督の鋭い人間洞察力が遺憾なく発揮される。若尾文子の愛くるしさも目を見張るが、したたさかを内に秘めた木暮実千代の色香と浪花千栄子の貫禄がなんとも印象的。
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