イセザキ書房は40坪少々の小さな本屋でございます。
先日、NHKクローズアップ現代でも採り上げられたように
ここ、10年間本の総売り上げは下がる一方です。
本の出版点数、冊数は増えているのに。
しかも、売り場面積も大きくなっているのに。
ただ、書店の数はここ5年間位の間に、全国的に見れば
4割位減っております。
理由は色々ですが、閉店する店は始めはごく小さな店でしたが
だんだん、小型から中型へ移りつつあるようです。
私は大書店(千坪単位の店)については
経験した事がありませんので詳しくは実感できません。
私の店は53年前、20坪の店からスタートしましたが
当時は小さい店という感覚はありませんでした。
今、40坪の店になっておりますが、とても小さな店の部類に
入ると思います。
書店が大型化した訳です。
それは、いつごろからだったかと思い返してみますと
10年前(大店立地法)が成立し、2000年6月に施行されたため
(大店法)は廃止された。
その頃からだと思います。
つまり、力のある店は周囲の調整を待たずにどんどん店舗を
大きくすることが可能になったと云う事です。
100坪単位の店がいつのまにか1000坪単位の店になり
3000坪の店と云っても驚かない時代になった訳です。
(大きい事はいいことだ)その通り。
しかし、なぜ大店法が捨てられたのかと考えると
表向きはグローバル化による競争力をつける為とか云われましたが
私は静かに思い返してみますとこれは
小泉内閣のアメリカとの関係の大きな
仕事であったように思います。
小泉さんは(自民党をぶっつぶす)と大向うをうならせて
当時の人気者、田中真紀子氏とタッグを組んで
政治家の大目標とする総理大臣になりました。
真紀子人気も手伝って90%という支持率で
有頂天になっておりましたが
私の感ずるところ芸術面にはとても詳しい方だけど
経済感覚は超一級ではなかったように思います。
又(俺は政策は弱いけど政局には強い)と言ったのを
聞いたことがありました。
その為に経済の専門家、竹中平蔵氏を重要閣僚に起用し
あらゆるものを自由化していったことを皆様も思い出して
頂けると思います。
そして、郵政民営化という国民には充分理解されていないまま
これこそ大義だと云わぬばかりの勢いで素人の
大勢の代議士を仕立てて自民党の力を増大させました。
私は今も考えても考えても郵政民営化とは
何の為に、誰の為に、大騒ぎしたのか疑問に残ります。
1998年(平成10年)に大型店を規制する考え方から一変して
大型店を地域社会の融和の促進を図ることを目的とした
店舗面積などの量的な調整を行わない
(大規模小売店立地法)
大店立地法が成立し2000年6月に施行されました。
これによって(大店法)は廃止されました。
そうです、その時期からです。
書店に限らずあらゆる業種のビックな店舗がどんどん出来て
まいりました。
私は書店の事しかわかりませんが、本の問屋の後押しを受け
次から次へと零細書店は踏み潰されてゆきました。
皆様ご存知の通り(自民党をぶっつぶす)と云った小泉さんは
自民党ではなく、日本全国の生活の下支えをずっとしてきた
商店街をものの見事にぶっ潰してしまいました。
本と言うものは特別な読書人以外の人はふらりと本屋に
立ち寄ってあちこち見ながら、触りながら、パラパラ立ち読みしながら
自分の読みたい本、面白そうな本を探して「今日はこれを買おう」
と思いながらレジへ本を持ってゆき買うのが普通です。
又、新聞や雑誌の広告、電車の中刷り広告、時にはテレビの宣伝で
読んでみたいなと思った時最寄の本屋でその本を探す。
そして、無ければ注文するとか、もう一軒覗いて見て探す・・・・。
と、いう商品です。
家電や家具類のような大げさな商品でもなければ
さりとて食料品類ともちょっと異なります。
また、衣料品や身につけるものとも違います。
かまえて購入する程の物ではなく、フラリと手を伸ばして
買って読む・・・・と言うものです。
だから私は今なら40~50坪位から80~100坪位の店が
誰でも歩いて20~30分くらいの場所に点在してしかるべき店舗が
書店だと思っています。
幼稚園の送り迎えの時、毎日の所要の行き帰りの時
通勤通学途上でフラリと立ち寄れるような店が
一番本を読んでもらえる機能だと考えております。
大書店の景観は素晴らしいと思うけれどもエレベーターで
昇り下りしながら迷ってしまい疲れてしまうような形態では
本は多くの読者の手元には届きにくいように思っております。
携帯が出来たので本には目をくれないと考える人もあります。
携帯は常に自分のすぐ傍にあるのでいつでもどこでも
取り出してつかえます。
しかし、今、近くの本屋が消えてしまうと、本の存在は人間から
遠くに離れてしまいました。
しかし、インターネットの所為ばかりにしないで
出版業界人、書店人は原点に戻って考えてみましょう。
格差という流行語がありますが、人間の頭の中も
大きな格差を生んでしまいました。
今、政府は教育の見直しにやっと力を入れ始めましたが
ここ、20~30年の間に教育を受けた人間はある種、不幸な
世代だったと思います。
文部省(当時の呼び名)も日教組(今はあまり影響はないようだけど)
も本当に人間を育てる教育をしてきただろうか?。と考えてみて下さい。
私は教育の原点は寺子屋のヨミ。カキ。ソロバン。が
基本だと思います。
又、人間社会はごらんの通り死ぬまで競争社会です。
その競争に耐えてゆける人間を育ててくれただろうか。
大学生でも誤字を書き間違った読み方をする人が
決して少なくないことを私は知っています。
大学まで12年間以上も学校に通って何を教わってきたのかと
首をかしげてしまう事をたびたび経験いたしました。
「近所の本屋が無くなって不便になったよ」となげく
初老の方によく出会います。
よく分かる例として文藝春秋一冊買うために車で延々と走って
いくのも大変、また初老になれば特に紅葉マークになれば
そんな事は出来ません。
目の老眼は眼鏡で充分調整できますし加齢による白内障も
今は手術の部類にも入らないくらい技術の進歩で非常によくなり
(年とって目が薄くなってね)という言葉は不要な時代になりました。
これは、私自身の最近の体験から自信をもって申し上げます。
年齢を重ねてまいりますと何かどこか体に不調が出てくるのは
当然ですが読書する事によってそういう問題も
克服する方法を知ったり読書するには加齢はけして問題では無い事を私は断言いたします。
本程種類の多い商品はありません。
しかもAがダメならBでいかがでしょう?という事の出来ない商品です。
Aの欲しい読者には少しでも早くAの商品を手渡すのが
書店の義務だと思います。
私の店は小さい店ですから問われてない本ももちろんあります。
最特急(早い時は当日または翌日)どんなにかかっても
2日間で取り寄せて読者にお渡しする事を当然と考えてやっております。
前のブログで書きましたが配達を重要視しております。
おいでいただくという行動をお願いするより届けて差し上げた方が
読者に喜んで頂けます。
読者に喜んで頂ける・・・・これが私の商いの最大目標であり
生きがいです。
最後に一番大切な事は3~4才の頃から本になじませる事が
肝要だと思います。
私は紙芝居から入っていき絵本に
繋げ児童書を読んでいただくように
なればもうその人は読書の喜びを体得し一生、本との縁が繋がると
思います。
本の中に自分の希望や夢を見出し青春時代には愛を知り
人間と人間の繋がりの強さを覚え人生というものに
しっかりした考えが生まれてくるようになると思います。
お父さん、お母さんお子さんに本を読んであげてください。
いずれ両親を越えた時子供の時買って貰った本のことを
思いだし、父を思い、母を慕う心情に変わってゆきます。
皆さん一冊から本を手にとって読んで下さい。
先ず一冊から。
そして2冊3冊と読んでゆけば携帯とは一味違った安心した喜びと
感動を味わう事が必ずできます。
イセザキ書房のHPからでもよし、電話やファックスからでも
注文して下さい。
来店する時間がなければ配達いたします。
さぁ、イセザキ書房に向かってスタートして下さい。
カタログが必要ならそれも手配いたします。
読者の皆様に愛をこめて本屋家業に励んでまいります。
今日一日どうかあなたにとってよりよい一日でありますように。
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イセザキ書房
〒231-0055 神奈川県横浜市中区末吉町1-23
TEL: 045-261-3308 FAX: 045-261-3309
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