4~5日前だっただろうか。
フィリピンの日本郵船自営商船大学の今春4年生になる学生の海上実習が始まったというテレビがふと目に止まった。
日本郵船がフィリピンで商船大学を作った事は、その当時のニュースで私は知った。
ウェー。なんでフィリピンで、日本郵船なの・・・・・・。
それを知った私の心情は私の少ない語彙の中では表現出来ないほどの驚きだった。
私は20才代前半から50年余にわたって日本の海運業(特に本船の乗組員)と深い深い関係があった。
各船会社が乗組員厚生費として文化費を出すようになり、それはほとんど本の購入費になっていた。途中の過程は割愛するがイセザキ書房は昭和30年代・40年代は船で年商億単位の売上を上げていた。
春は南氷洋の捕鯨船、秋は北洋の鮭鱒船の出港する時には横須賀港へ2t車5台でも運び切れない本の量であった。
通常は毎日5台~9台の車(本棚つき移動販売車)を船の横につけて車に本船の方に入って来て頂き選書してもらった。東京湾いちえんが商売の場であった。
東京湾の大きな地図がを事務所に張ってNO、のついた針ピンを船として夫々の車の位置を店で把握していた。
又、本船の方が私の店にも来店された。スバルで迎えに行き伊勢佐木町の店で選んで頂き後から届けるとか。その間にお茶を飲みながら船乗り人生の様々な姿を話して頂いた。
私も本船にお邪魔して船の中の部屋の合理性に感心したり。
当時は様々な業者が船に入っていた。
保険屋さん、雑貨屋さん、衣類屋さん、etc・・・
長い経験から私は本船の方が来店されると、どこの船会社の方かすぐ分かった。百発百中。
不思議なもので、同じ仕事をしているけれど夫々会社のカラーが異なるんですね。
これはどこでも同じだけど。
船乗りさんの会社を当てるのは経験がなければ無理です。
あ、郵船さんだ、大阪商船さんだ、川崎汽船さんだ、山下新日本汽船さんだ・・・私はすぐ分かった。
そしてそれなりの応対をした。
その頃「港の本屋さん」というタイトルでNHKの正午のニュースのすぐあとで現場と店を両方放映していただいた。
あぁ、あの頃は私も若かった。
時代も若かった。希望がいっぱい溢れていた。
楽しい仕事だった。
当店の可愛い独身女性は3人本船の方と結婚した。
今も幸に暮らしているはず。
毎日入港する船の新聞(というより情報紙)の中に○○丸という船名ではなく、横文字の船名が混じりはじめた。
船籍を外国にして傭船して日本の船会社が運航する形になっていたらしい。
昔からマルシップというのは世界のどこへ行っても大手を振って行けたという事は私は前から知っていた。日本は四方海、海運業は命綱。
私の子供の頃は東京商船大学に合格したというと東大より褒め称えられたものだ。
又、船員さんが制服を着用して並んだ姿は美しかった。
船乗りに憧れる若い娘が沢山いた。
いつの頃からか、もう10年以上前だろうか。
船名は最上川丸(Kライン)はMOGAMIGAWAと書くようになった。
今はほとんど99%横文字になった。
私は時々埠頭へ出掛けた時、外国船の船員がデッキにもたれて何を見るともなく外を眺めている姿に、よく出会った。その時必ず思った。
(どこの国の人か、分からないけど国に残している妻や子供、恋人をしのんでいるのだろうと・・・)
船乗り稼業の哀愁を感じさせられた。
そのうち乗組員も外人が入ってきた。おそらくどの業界より先駆けて外人を雇用したのが海運界だと思う。昭和50年頃はそれでもキャプテンとか重要な地位の人は日本人で通常の乗組員だけが外人だった。
韓国人、中国人、インドネシア人と色々いたらしいが、フィリピン人に落ち着いたかにみえる。
聞けば、素直で明るくて音楽好きで、英語が堪能なので船の世界では良いはずだ。
その頃までは私も外人が乗船する事にさほど、心配はしなかった。
でも、船長、機関長というエライ人は日本人であってくれなければ困る。
そしてもうひとつは食事、これが問題。
「英語で書いた日本食」の本は必ず買って入れている。
でも、どんな味噌汁が出来るのかしら、どんなてんぷらが出来ているのかしら・・・・と私は時々思う。
そしてフィリピンへ、日本郵船が商船大学を作った。
当然といえば当然かも分からないけど、日本には商船大学はない。
東京海洋大学として日本にたった一つだけ。
これもあくまで海洋大学である。
他産業でも同様だけど技術者は国籍を問わず優秀な者がより優れた企業へ入るようになった。そう考えればグローバル化のこの時代、フィリピンに商船大学が出来た事に悲哀を感ずる私の方がおかしいのかも分からない。
そう心の中で思っても理性では、納得できるがマルシップの時代から半世紀あまりでこの現実は昭和人の私には胸にこたえるものが残るのは否めない。
こんな時代にもっと政府はしっかりしてほしい。
総理殿。
観桜会も悪くないけどもつと総理大臣らしい服装でTVに写されてほしいです。
このままいったら日本人は東海の小島の磯の白砂になつてしまいます。
日本人はすぐれたものを持っています。
リーダー次第で良くも悪くもなります。
出来ないかも、分からない事はやたら発表しないで下さい。
一寸横ヤリが入るとすぐ変わってしまうような政策では、国民は泣かされます。もう一度 陽を昇らせようではありませんか。
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