2012年2月11日土曜日

あぁ、懐かしい日よ

節分が過ぎ、豆まきをした残りはお茶と一緒に食べてしまった。
福は内、福は内、と云いながら、福はみんな「福は口」に
してしまった。
ベランダに出てみると、空の青さがすがすがしい。
春だ、もうすぐ春だ と不意に思った。
首筋に冷たい風が入ってくるけれど、空を見ていると
やっぱり春だと思った。
希望が湧いてくるような空の色。
青く晴れ渡った空をじっと見ていると、なぜかふるさとを思い出す。
高等学校の卒業式で總代で読んだ答辞の言葉を
なぜか思い出した。
60年も経っているのに、一字一句鮮やかに私の胸の中で
ひとりでに文字が並ぶ。私の声が聞こえてくる。

「今、 全員そろって並んでいますが、この姿はもう再び
どんな事をしても再現する事は出来ません。
今日が、6年間の本当に最後の日になりました。
戦後のどさくさで女学校へ入学し、途中で併設中学校になり、
入学して4年目にして初めて新入生を迎えました。
校長先生からは、沢山の人生の哲学を教わりました。
又、諸先生方からは、地方の高校とも思えぬ程
すばらしい先生方に恵まれ、私達は敗戦のおかげで、
幸せな学校生活を送る事が出来ました。
先生、本当に本当に有難うございました。
私は一生、生きてゆく限り、今日この日の今の心情を
忘れ得ないと思います。」

前後に文章は沢山あったけれど、ここの一か所だけは
何かあれば必ず思い出す。

60年経ってみると、夫々違った道を歩き進み、
既に、この世を去った人も何人もいる。
あぁ、あの時は、それほどの感激でもなく使った言葉だけれど、
今にして思い出すと、時代の変化、人情の変わり方、
様々な変化の中で、私は、ふと何かの時に
いつも思い出すのが、卒業式の日のこの言葉である。
懐かしい青春の日。

入学とか卒業式を秋にするという声も聞こえてくるけれど、
日本の風土からみれば、春4月が一番ぴったりとはまっていると
私は、思ってしまう。

みんな、みんな、年を重ねて来たけれども
思い出ばかりは色褪せる事もなく、新鮮そのもので
私の胸にせまってくる。
どこからともなく、仰げば尊しわが師の恩・・・のメロディーに
のせられて。




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