2008年2月9日土曜日

おすすめといえるかどうか?

かつて20年ほど前、エンリオ・モリコーネのあまく、せつないテーマに乗せてルーブル美術館を紹介するシリーズ番組があった。
文明の曙光からロマン派まで時代を追っていく中で、やはりレンブラントの登場する”バロック”の特集が興味深かったのを思い出す。
毎回ゲストの俳優が彩りを添えていたのだが、この回は私の敬愛するシャーロット・ランブリングとダーク・ボガートが高名な光と影の画家について語っていた。


レンブラントの夜警

レンブラントの夜警ランダムハウス講談社
2008・1
¥1680(税込)


1642年のオランダ,36歳ですでに一流の画家としての成功を収めていたレンブラントはアムステルダムの市警団から集団肖像画を依頼される。
ありきたりの肖像画の構図を拒んだ売れっ子画家が自信を持って仕上げた大作は、モデルになった人々の隠された素顔を暴き、恐るべき陰謀を告発するものだった。

と記す紹介は少々大仰だが

歴史に残る大傑作が逆に偉大なる画家を破滅へと追いやるパラドックス。

”テュルプ博士の解剖学講義”そしてあまたの”自画像”の数々。
そしてこれは代表作の”夜警”についての書というのだ。
しかし読み進めてゆくと金に疎く酒に溺れ、最愛の妻亡きあとの家政婦達との赤裸々な性行為、神と人間との間を行きつ戻りつ、右往左往する一人の男の姿が描かれていた。

人は絵画を見に行くのではなく、観る自身を堪能したいが為にゆくのだ。
人は本を読むのではなく読んだ自身を堪能せんが為に、今日もまた一冊、一ページをめくるのだ。
人生の一冊を見つける為に、おそらくは永遠に見つからない一冊に辿り着くために・・・・・


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