2011年5月28日土曜日

生きると云う事は

3/11日の事故で子を亡くした親、親を失った子供達が数多くでました。
いずれも悲劇だと思う。
しかし、65年前第二次世界大戦(大東亜戦争)の時に父親を亡くした子供の数は数えきれなく多かった。

道夫もその一人、2月に生まれて11月に父親が召集を受け家を出たままフィリピンルソン島で戦病死(のたれ死に)したので半年余の父子であった。
兄、忠夫は3才の時、父親と別れた。
「お父ちゃーん、行かないでー」と叫んでいた声が桟橋中に響き渡った。
道夫も兄の忠夫も写真の父しか知らない。
声もまったく覚えていない。

幸にして祖父母が健在だったので母子家庭にはならず、何とか祖父母を頼り成長した。
祖父母も一人息子を失ったので孫というより息子のような気持で二人の孫と接してきた。
何でも相談するのは祖父母、特に祖父であった。
「じいちゃん肩こってない?叩いてあげるから将棋しようよ」と云ったり「道夫、この刺し身うまいぞ、じいちゃんのだけしかないから食べてみよ」と云ったり。
それは祖父と孫以上の心の通いであった。

忠夫はなぜか病気になって入院する事が多かった。
入院したら祖父は汽車に乗ってT市の病院まで毎週のように通った。
好きな食べ物を祖母に作らせてそれを持って仕事のように出掛けた。
看護婦さんや医者が「可愛いんですね」といつも驚くように言っていた。

でも、常にに云っていた言葉は「忠夫と道夫の体を引っ張って伸ばしたいよう。」
早く大きくなってもらって自分の跡継ぎが欲しかったのだ。
一代抜けると水産業は覚えられない。
祖父はもう駄目だと半ば諦めていた。
しかしそれでも忠夫は長男として家業をつがねばならないと心に決めていたらしく、行きたかった大学進学も諦め、早朝4時起きして船を出し、湾内をひとめぐりし、市場に間に合うようにあげた魚を持ち帰り、それから学校へギリギリの時間に滑り込んでいた。
朝早くともやらなければならない仕事を祖父に教わりながら夕方暗くなるまで仕事をしてそれから勉強をして眠る。
こんな生活を続けたせいかどうか分からないが盲腸になり、胃潰瘍になり、とびひ にかかったり・・・・母は気が気でなかった。
でも性格はあまり覚えていないのに父親そっくり。
他人の気持ちをおもんばかって県会議員を4期16年間一度も落選する事無く続け議長職を得て70才を目前にして公職から身を引いた。
県議中に胃ガンになり、胃は全部とり食道で生きている。
妻の献身的な夫への思いの故か再発する事もなく今も他人のあれやこれや世話をしなあがら老母をかかえ、妻に支えられて生きている。

一人息子と二人の娘もよく出来た子供で父を労わり祖母にも優しく、よく出来た息子、娘に恵まれたのもフィリピンの空から守ってくれている覚えてない父のおかげだろうか。

世の中には色々な幸。不幸があるが、それは本人次第、心を広く持って世の為に生きようという気概があればみんな幸に違いない。

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