2010年7月3日土曜日

商売をしていると棚卸しという作業は必ずついてまわる。
これをやらないと、はっきりとした利益も損失も出てこない。
私は50年余、毎年これをやってきた。
何百坪という店ならば大変だろうが50坪そこそこの店の棚卸しは要領と仕組みを経験によって一年一年うまくなってくる。

棚卸を業としいる会社からよく勧誘を受けるけど私はずーっと当店の人員で行ってきた。
専門業者は機械を使い確かに数字は間違いなく、そして時間も早いだろうと思う。
しかし棚卸とは何の為にするのかと考えた時、店の商品の一冊一冊をチェックする事も含まれている。
自分の手で一冊一冊触ってやらねばならない。
思いがけぬものが出てきたり「これもう一年間もここにいたんだ」と思う本も出てくる。
夫々に処理してゆかねばならず、夫々の商品に息を吹き返してやらねばならない。
これが、本当の棚卸の目的だとすると中以下の書店は自分の手で一冊一冊触ってやらねば本が可哀そう。

自分の商品は我が子のように可愛い。
大切である。
なで、さすりたいという思いがする。
私はふと思った。
人間の手とは随分立派な機能を持っている。

どこか痛い時、手で撫でているといつのまにか痛みが薄れている。
文字を書く時にも手が必要だ。背中がかゆい時も手をのばす。
パソコンだって指先を使う。
今頃はあまりないけど、夫が妻をぶん殴る時も手を使う。
その反対もアリかな。
子供の教育の上で小さい時には、たたかれる痛さで覚える事もたくさんある。
お尻なら叩いても大丈夫、その痛みでこれはいけない事だと子供に体感から教育するという事は絶対必要だ。
近頃は、いけない事になっているが私は人間は痛み・苦しみ・悲しみから人生を生き渡る上で必要な事を覚えてゆくものだと信じている。
手は心を伝える。
好きな異性に会って(近頃の事は私はよく分からないけど)話をしてお互いに、いいなぁと思い合った時一番感情を伝えるのは手である。
好きな娘の手を両手で握りしめる時の感情は純粋そのものである。
そして握りかえし、にぎりしめてくれるようならもう大丈夫。
手は口よりも、ものを云う。

料理の時の火加減、水加減も手で行うのが一番。
味を見るのも舌まで運ぶのは手の指先。
体調不良の時、額に手を当てれば熱があるかどうか大体分かる。
これも手の感触。
内科の医師のすぐれた方は必ず手で体に触る、押してみる、撫でてみる、これも手が主役。
残念ながら器用・不器用があって百人百様ではあるが、物を造るのはみんな手。
機械じゃありません。手、手なんです。
便利な世の中になったおかげで手を使わずに作業をする事も多くなったけど、なるべく出来るだけ手を使いましょう。
そして色々な物は見るだけでなく触ってみる事です。
触れば手から様々な事が伝わってきます。
手とは万能、千手観音でなくても両手で大丈夫。

年を重ねた人の手を見るとその人の歩んできた人生が刻まれている。
皺だらけのシミのある手にダイヤモンドの指輪を入れている人を見ると私はある種の感動をあじあう。
苦労の末に得たダイヤモンドの輝きは、その人の人生の重さに見える。
手は大切にしましょう。
そしてどんどん使いましょう。
文字は人柄を表すと云うけれどみんな手で書かなくなってしまって格一的。
面白くないのですね。文字を見ればその人が大体分かります・
手は素晴らしい道具です。

社内の会話も英語になる時代。日本語が遠くなりそう。
地球はひとつですから当然かも分かりません。
だからこそ私は日本の文化をなんとしても残したい。
日本にはかけがえのない地球上どこにも見あたらない素晴らしいものがたくさんあります。

これからひとつひとつ折ある毎に伝えさせてほしいと思います。


今回は扇子等を紹介させて頂きます。

シルク扇子 各800円
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