2008年1月27日日曜日

家読(うちどく)とは?


私は小さい時、カタカナを祖母から教わりました。
そのうち、表はカタカナ裏がひらがなになっている積み木を親類の人からもらった時とても嬉しかったのを覚えています。
ひらがなを覚えると祖母は自分の実家から、次から次へと絵本を借りてきてくれました。
祖母の実家は大人数で子供が大勢いたので絵本は沢山あったようです。
古本だけど次々に新しい物語の絵本が手に入り、「もう全部読んだからまた借りてきて」とせがんでいたようです。

かちかち山、ももたろう、うさぎと亀、アリとキリギリスなど次々と読んだようです。
その間に、抱かれて寝ながら恐ろしい山賊の話を祖母が自分で作って話してくれたのは今も忘れられません。恐ろしいけどそのどきどきしながら聞くのが楽しみでした。

今から思うと中仙道を旅する話だったと思います。時々祖母が言い間違えると、「おばあちゃん間違えた」と言っていたそうです。
私は今でも中仙道を通るとき必ず思い出します。
これなら明治時代に山賊も出ただろうと。
少し大きくなると絵本ではなく「文字の沢山書いてあるのが欲しい」とねだって少年少女物語や偉人伝が好きになり、私もこんな人になりたいなぁと思っていたようです。

そのうち、両親祖父母の前で読んで聞かせることを始めました。2才下、5才下の二人の妹も姉の真似をして読めもしない絵本を絵を見て勝手に大きな声で読むのではなく、話していました。
3人姉妹で競い合っていたあの頃、もう65年以上前だけど今でも目に浮かんできます。

そんな幸せを壊したのは、父の召集そして戦病死という出来事でした。
高校生の頃、それいゆ(中原淳二)が出るのがとても待ち遠しかった。雑誌は学年雑誌以外何もなかった頃のこと。
家族の意見は家から通学できる範囲の大学でなければ行かせられないと言われ、京都を目指していた私は日々悶々と過ごしていました。そんな時今は亡き夫、亡夫が出現して「東京の大学へ行けばよい」という一言で結婚してしまいました。大学進学が目的だったけど、いざ来てみると横須賀ベース前の小さな洋書店で来る日も来る日も英語しか通じない店でとても忙しかった。
まず、英会話の習得が先決だった。店は随分繁盛して大学の勉強どころではなくなった。
そしてまた夫は、「俺が教えてやる。心配するな」と言っているうちに、時間が過ぎてしまい気がついたら本屋になっていました。
今、お子さんを見るたびに昔の自分を思い出します。私の子供時代と違って、今はあふれるように児童書があります。お母さんも選ぶのに苦労すると思います。

そこで私はあることを思いつきました。今は私の子供時代と異なり町のかみしばい屋さんというのはほとんど見あたりません。
でもかみしばいそのものは次々と新刊が出ております。私は毎週YMCAで演じており、私の店の店頭でもかみしばい会を開いております。ホームページでお知らせしております。3月からは定期的に行う予定です。

お母さん、いかがですか?
観る、聴くだけでなく一度演じてみてください。
最初はちょっと戸惑うかも分かりませんが、お子さんはきっと喜びます。
回を重ねるごとに流暢に進むようになります。

子供になったり、男になったり、女になったり、動物になったり、お菓子になったりその都度声音を変えて話すのが楽しくなります。
お父さんや大人たちにも聞かせてあげてください。
子供さんが勢いづいて喜びます。
そして物語の面白さから自然に本を読む習慣が身についてきます。

これが大切なところです。いろいろな情報媒体がありますが、本に勝るものはございません。
もし仮に外国語を学ぶにしても、日本語がしっかりしていなければものになりません。
読書の醍醐味は一生ついてまわります。知った人は大きな大得です。
私はしがない一書店人ですが50年以上もやっておりますといろいろなことがわかってきました。
お父さんも交えて、両親、祖父母、兄弟、姉妹で思い思いの姿でみんなが本を読んでいる風景を想像してみてください。
素敵な風景ですね。

私どもはそれを家読(うちどく)と読んでおります。
さあ、はじめよう。ウチドクを。

家読記録ノートが当店にありますので記入してお持ちください。
読書の参考になる記念品を差し上げます。
                


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※今週のオススメ※  


日本全国『県境』の謎

・歴史によって境界線は変わりますね。
 それは世界も同じです。


 実業之日本社 
 浅井建爾 
 800円(税込)






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