大学を卒業して入社した中位の会社で紆余曲折はあったもののとにかく社長にまでなった私の亡夫の友人から先日何年振りかに便りをもらった。年賀状とメール以外は頂いた事のない人なので驚きながら読んでみると「大病を患い現在、入退院を繰り返している」と書いてある。完治の見込みは無いとも書かれている。亡夫は63才で亡くなった。その時「俺は病気にはならないから70才までに会社を辞めて次の好きな事をしたいと思っている」と言った。好きな事とは何だったのかは問わなかったが私としては羨ましい気持ちで聞いた。
私の友人でトビキリ美人で成績の良い子がいた。素敵な男性と結婚し子供を二人作り亭主の定年後は毎年世界中あちこち夫婦で旅行をしていた。幸福を絵で書いたような存在だった。ところが最近の便りによると半月板を痛めて手術し杖をついて家事をこなしていると書いてあった。医者に一年は通えと言われたらしい。
この2件だけではなくあちこちの友人知人から体調不良の便りが届くようになった。しかも必ず「あなたはいつまで働くつもりなの?老後の楽しみがなくなるよ」と書いてある。私は零細書店のおばさんだから定年もなければ休日も年5日しかない。体も健全とは云えないまでも近くの主治医の指示に従い通常に働いている。老後って何を云うのか私には分からないが私は毎日「本を売る」というこの仕事が楽しくてたまらない。近頃の事、大変不景気。でも苦しい悲しいと思ったことは一度もない。もっと売れたらいい、もっと売りたいと思って毎日毎日がとても忙しい。
遊ぶ時間はなかなかとれないけれど、遊び下手な私の事だからそんなに苦痛にはならない。いずれにしても70年間も休みなく使ってきた体だもの。故障がでるのは当たり前だと思っている。定年後だとか老後だとか、そんな事一切考えずに私は本日現在”今”を充実させて生きる事に懸命だ。大切なのは”今”だと思っている。今なくして未来はない。今を充実させて生きるのが一番幸せだと信じている。
我田引水ではないけれど「素晴らしい本に出会えた喜び」「素敵な読者に会えた喜び」「会った事もない私の店の読者からファンレターをもらえる喜び」そして「事もなく流れてゆくこの時間に身を任せて生きる喜び」お金儲けの事を抜けばこんな素晴らしい商売はないと思っている。30代、40代、50代の人達は読書の喜びを知らずに一生終るかも分からない。昨日、中山大臣の云われた事は間違いではないと思う。大臣としての言葉でなければ私も同意見。
どうか皆様今を大切にして生きてまいりましょう。
今回も一冊の本をオススメします。
今回は童話です。カラスのパンやさんのお話です。
私はこれを紙芝居で子供達の前で演じました。「パンの匂いがしてくるよ」と云って皆で笑いました。
「からすのパンやさん」
かこさとしおはなしのほん 7
かこさとし/絵と文
出版社名 偕成社
出版年月 1978年
税込価格 1,050円
頁数・縦サイズ 1冊 26cm
「あなたが知らない森の中でどこからか香ばしい美味しい匂いがしたら、森の上の方を見てご覧なさい。もし風車がチラチラ回っているのが見えたら、そこがカラスのパン屋さんのいるいずみがもりなのです。もしかしたら、あなたはチョコちゃんたちに会えるかもしれませんよ」
※カラスのぱんやさんから文章抜粋
私はこれを一段とトーンを落としてお話した。子供達は耳をすませて聞いてくれたのがとても嬉しかった。
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