2010年6月11日金曜日

紙芝居を買って下さい。どこよりも在庫豊富です。

私は妹が生まれた3才の時から祖母の寝床の中でだかれて眠った。
祖母は私が眠るまでおとぎ話をきかせてくれた。
絵本を読むのではなくすべて祖母の語りである。
桃太郎やサルカニ合戦も面白かったけど「山賊の話」が一番おもしろく、70年余たった今も私はおぼえている。

四国から東京へ出るのに東海道と中仙道があったが、きっと中仙道の方がコストが安かったのかも分からない。
宿屋らしき所に泊って身ぐるみはがれてしまう事もあったらしいが、そこをこの話の主人公の夫婦は察知して、出された食事を全部窓からその下を流れている小川へ捨ててしまい、持物はすべて頭の上にくくりつけ下半身裸になって、川の中を夜中にひっそりと音を立てず宿から抜け出す。
暫くすると宿の主人に気づかれて追手があちこちからやってくる。夜の事だからあちこちの暗い所へかくれながら夜明けまでに逃げ切る話だけど、これは本にもない。経験者から聞いた話を祖母が私に語ってくれた話。
でも間違う事なく祖母は恐しい所はさも恐しそうに、抜け出す時は声をひそめたりして、その場その場の姿がまるで見えるように話してくれた。
「山賊の話して」とよくリクエストしたものだ。
今、私はおばあさんだけど、今の孫はそんな眠りながらの話など聞いてくれない。
又、抱かれて寝るのではなく、みんな一人一人独立したベッドで眠るので、そんなチャンスもあまりない。

でも、3、4才~5、6才位の時に聞いたお話、観た紙芝居、読んだ絵本は一生忘れない。
小学校に入れば学校の勉強もあるけれど、本を読む楽しみが大きくふくらんでくる。
この時期をパッチリとらへて子供に本を与へると、本を読むという習慣が身について特別な事でなく読書のよろこびの中にすーっと入っていける。
私は小学校の時同じ漢字をノート2頁にびっしり書く宿題が毎日あった。それを書かないと何か気になって他の事が出来ないので、帰宅するなりすぐに書いたのを覚えている。
小学5年・6年と同じ教師に教わったが、その女教師は国語の時間にとても力を入れて、教科書にない小説をよく読んでくれた。今考へるとあの2年間に、宮本武蔵に出てくるお通さんは美しくやさしいすてきな女性として、私の身体の中で育って行ったと思う。
もうその先生は亡くなられたが、体育はダメだったけど国語はよく教へてくれたと思う。作文を毎日書かされて、その中からよい作品はみんなの前で朗読させられて、みんな競い合って作文に励んだ。

今の学校教育はどんなものか遠く離れてしまってよく分からないけれど、今の社会人(特に若い人)は本当に字を書かないと云うばかりでなく、文章を書かない。
文章など書かなくても不自由しない、それに勝る道具が沢山ある、と云われれば私は反論できないけれど。
文章を書くという事は唯文章を書くだけでなく思考の整理が出来、社会人としての矜持が養はれると私は考えている。

私は今、書店という商売をやっている。
儲からない商売だけど私の唯一の心のよりどころは、日本人が日本人としての普通の読む・書くが出来るようになってくれる事、その唯一すじ道を歩み続けて行く事だ。
読みきかせをやってみたけど疲れる。
何かいい方法はないものかと考えて到達したのが紙芝居であった。
演じる楽しみも覚えた今、
『人間はどんなに年令を重ねても希望を持たなきゃ、この年寄りの私が恋をするかも分からない、事業を起すかも分からない、人間は希望を持たねば』
このコマーシャルに励まされて、生あるかぎり夢を持とう。


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