2013年11月16日土曜日

みんなみんな幸を持っています

人間の「幸」って何だろう?
大金持ちになる事か、
大きな企業を作って大勢の人を使って
活躍する事か、
家族が親子兄弟みんな元気に
育つ事だろうか。

「幸」とは人間の心の有様だと私は思う。
私は子供の時から高校を卒業するまで
ずっと学年の中で一番だった。
入学した時は「誓いの言葉」を読み
卒業する時にも一番で答辞を読み上げた。

そして、京大の法学部を目指して
勉強していた時、亡き夫を紹介され
大学へ行かしてやるから結婚しようという事で
はるばる横須賀へやって来た。

そんな事を信用するものの
結婚したら大学どころか
先ず英会話を修得し、一人でアメリカンセーラー
相手に仕事が出来るようになれと云う
東京神田への仕入れもやらされ
タクシー、赤帽、電車に乗って
又、赤帽に頼んでタクシーに乗り店へ帰る。
棚を増やしたいので棚板を買いに行くのも
結局持って帰る仕事は私。
2間ものの木材を横須賀の街の中を
私は持って帰った。
「これを持って帰る度胸があれば使い物になる。」
という夫の言葉を聞いて私は愕然とした。
結局、大学どころか商売の片棒担ぎになってしまった。

当時、私達夫婦は逗子海岸の近くで
部屋を借りる生活だった。そこで
家を建てるので私の母も香川県から手伝いにやって来た。
その時、部屋の大家さんから
「娘さんの生活は決して幸ではないですよ。
もし、離婚して帰ると云ったら受けてあげて下さい。
旦那は、自分独りベットを買ってそれで寝ています。
そして、年中ぶん殴られてかわいそうで
見ていられません。
奥さんは一生懸命働いています。
旦那はそれを利用しているだけですよ。」

その他具体例をあげて私の母に話したらしい。
私の亡き夫の兄弟4人は
みんな同じらしい様子だった。
それでも、私は亡き夫の泉のようにわき出るアイデアに
魅せられて泣く日も沢山あったが
離婚はせずに自分を大きくする為に
必死に食いついて行った。
でも、1年のうち何回かは死のうと思った。

横浜へ来てからは、2年間位苦しかった。
何せ20才代のよそ者夫婦なので
周囲から異様な見られ方をされた。
そのうち、子供が生まれ
この子を1人前にするまでは何としても
頑張ろうと決心をした。

南氷洋の捕鯨、北洋の鮭鱒の船が
出ていた頃は、何百万単位の売上だった。
それがなくなってしまい、商船相手中心になった。
20年間位、日本の高度成長時代に
私達も恵まれた商売をさせてもらった。
今では考えられない世界大百科事典を200セットも
売って全国第2位の成績だった。

しかし、高度成長時代が終り、
同時に船の動きも難しい面が出てきた。
そして、年追う毎に横浜港へ来る船ば
少なくなる一方売上も落ちてきた。
問屋の支払いを100%にするため
貯金も使ってしまった。

先日、いつも通院している医院で
待ち時間の時、横に座っていた70才位の人から
「私は貴方をよーく知っています。
いつもカウンターの所で [いらっしゃいませ]と
すごくすがすがしい声で迎えられるので
週刊誌でも買っていかなきゃと思って
安い本ですが貴方のキリットした姿から
私はいつもほれぼれしていました。
みんなそう云っていましたよ。
そうもう80才ですか。よく働きましたね。」
と云われ、そうか見てくれていた人も
大勢いたんだ。幸と思わねばならないと
死と表裏の年令なって
こんな私でも見てくいてくれた人もいたんだと
有り難く思った。
私は幸な人間だと
神様に有難うございましたと手を合わせた。





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