2013年6月29日土曜日

読書は人間を快適にする

本も色々様々な種類の本が出ている。
形態はともかくとして、その内容には
書籍(と呼ばれる本)と
ムック(と呼ばれる雑誌の少々豪華な本)
それから、月刊誌、週刊誌etc・・・。

一日店を見なかったら
新しい本が出てくる出てくる、一日も見逃せない。
出版社も色々考えて目立つように、
手にとってもらえるように、色々な工夫をこらして
本作りに懸命だ。

そうしても読まない人は読まない。
一番吸収度の高い10代20代、そして、30代の人は
特別な人以外は読書に冷たい。
読書よりも、もっと楽しいもの、面白いものが
周りにいっぱいあるので、
そちらの魅力に惹きつけられるみたいだ。
パチンコその他いろいろ。
私がパチンコをしたのはもう50年前。
玉を1個ずつ入れてバネを押すあの方式の時。
その頃は、若い女性など見当たらず、
私一人くらいだった。
亡夫について行って、待っているのが嫌なので、
少しだけやってみた。
ボツボツしている私の方はどんどん玉がたまり、
ある程度たまったら、夫の手がザーと全部持って行く。
そんなのどかなパチンコ風景だった。

今は違う。
私は最近の事は全く知らないけど、
うちの周囲はパチンコだけでなく、大きなゲーム屋が
何軒も並んでいる。
男も女も、老いも若きも、どんどん吸い込まれている。
そして、本屋は素通り。
本が読まれなくなったと云われてから
もう何年経つだろうか。

私は本屋だから、好きな本を手に出来るが、
だんだん年を重ねてきて分かった事は、
一冊の本を10回位読んでみることだ。
小説ではなく、心の肥やしになる本が主体だけど。
1回目、2回目、3回目くらいになると、
あれ?と思うように新しい発見をする。
4回目、5回目も又新しい発見をする。
その辺りから私の心の中に
若者の意図がなるほど、なるほど分かってくる。
更に読んでいくと、又新しい発見をする。
10回目位になると、
若者の気持ちが私の気持ちと一体化する。
そうだ、そうする事が必要なんだと
すーっと私の心の中に入ってくる。

とても楽しくなってくる。
人間は、快適になる事がとても大切だと思う。
腹が立たなくなってくる。
そして、苦しい事も快適な心に
変える事が出来るようになってくる。
みんなが快適な気持ちになれば
世の中は穏やかになると、私は思う。
毎日毎日、事件や事故のニュースも減ると思う。

同じ一生なら、快適に生きた方が
どんなに素晴らしい事か。
一度試して下さい。
頭のいい人は、文章を覚えてしまうかも分かりませんが
文章は覚えなくてよろしい。
貴方の気分が快適になる事が
大切です。






◆ 「イセザキ書房TV②」 ◆


近々「イセザキ書房TV③」をアップロードします。
お楽しみに!





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2013年6月22日土曜日

教えて下さい、お分かりの方。

実家の弟に電話をした。
「確か、父に命日は6月だと思うが、何日か。
仏壇のおいわいさんの裏を見て教えて。」
弟の返事は「昭和20年6月8日、フィリピンにて戦病死
と書いてある。」と云った。

何が戦病死だ。
木更津から佐世保まで汽車で移動した時にも
食べ物も飲み水ひとつなかったではないか。

父は神戸の義姉に電話を打った。
「神戸駅に00時00分に着く。5分停車する。
何でもいいから食べ物を持ってきてほしい。」と。
電報を受け取った叔母夫婦は、すぐに事情をよみとって
残ったご飯を全部おにぎりにして、
おかずもあるだけの物を全部詰め込んで、
急いで届けた。
デッキの所で、父上は手を振って待っていたのですね。
そして、葉書を一枚渡した。
「これだして下さい。」
神戸の叔母は葉書を読んだ。
「熱海の温泉に入った。
お湯は沢山あって、気持ち良かったが、
食べる物は何もなかった。
今度帰ったら、日出子と5人の子供を連れて
熱海の温泉に行こうと決めた。」という一節があった。
父上、その日を母も私達妹弟も待っていました。

軍隊はドンドン召集して集め、
唯、南の島へドンドン送った。戦具もなし。
食べ物も飲み物もなし。
ミミズでも小さな虫でも何でも食べたそうですね。
一体、この指揮をとったのはどこの誰だ?
私は命あるかぎり探し出そうと決心した。
でも、その指揮官の上にいたのは誰か?
それが難しい、もう生きていないだろう。
くやしい。

日本の国力で、大東亜共和圏等と云って
出来ると思っていたのだろうか。
デビ夫人は、この言葉をスカルノ大統領から
聞いたと随分昔の雑誌に書いていた。
日本の野心は、アジアの中にも
拡がっていたものと思う。

もう時代は一世紀も過ぎ、
地球は大きく変わっているが、
日本の企業は、アジアの至る所に工場を
作り、店舗を作り続けている。

総理殿。
憲法は変えるのですか?
軍隊を作り、、徴兵制度を作るのですか?
そういうものを作ると、必ずそこに総理として
力のおえない権力が生まれます。
私はこれが怖いのです。
人間はみんな貪欲の固まりだから
どこへ行っても権力を持ちたがる。
これが人間だという事を忘れないで下さい。
議員数の一増五減はやっと出来そうですが、
一体、何ヶ月かかっているのですか?
私は、議員数も半分位に減らすべきだと思います。
何もしていない人もいっぱいいるように見えます。
しかし、これの出来る総理は
今の日本にいるでしょうか。

静かにじっと眺めていると
少しずつ、少しずつ、国民から巻き上げるものが
増えています。
金持ちには何でもないかも分かりませんが、
世の中金持ちは、極く一握り。
普通の人間が、努力を重ねながら
普通に生きてゆける国にして下さい。

そして、日本国内の道徳の乱れ方、
生き方の浅ましさは、説明できない程あります。
「商店街では、バッグは道路側でなく、
店側に持つように」
ひったくりに会うからです。
銀行のキャッシュを出そうとすると画面に必ず
「この引き出金しは間違いないか」
という文章が必ず出て来ます。
キャッシュを目指して堂々と人の金を
巻き上げる術です。
私の店では、一度こんな事がありました。
電話があって、「図書カードを10万円分買いたいので
準備しておいてくれ。」
「10万円はありませんが、7万円ならあります。」と答えたら
「じゃあ7万円でいいから準備しておいてほしい。」
電話があって何分もしないうちに
30代前半の普通の男が表われ
「さっき電話した図書カードを買いに来た。」と云って
銀行名入りの封筒をカウンターの上に置き、
私共の店員は、7万円の図書カードを同じように
カウンターに置きました。
置くや否やすぐとって店を出た。
そして、銀行名の入った封筒を開けてみると
金は一枚も入ってない。
すぐに追っかけたが、車で逃げてしまった。
警察へ電話したが、一寸の差でその図書カードは
換金されて人物は行方不明。
まんまと容易く7万円とられました。
本の万引きもありますが、
7万円も売価になる程というのは、至難の業です。

こういう事は、学校教育云々の問題でなく、
強いて云えば親の育て方にも起因すると思います。
国家国民のことは  爪の垢程も持ち合わせていない若者や
そして、中年も含めて日本には多すぎます。

ところで、アベノミクスはどうなっているんですか
株が上がり下がりしただけで
儲けた人もいるかも分かりません。
しかし、私には無関係です。
私は、商人ですから利益を出さねばなりません。
アベノミクスを始めてから少しもよい事はありません。
2%のインフレとか云いますが、
現在60才以下の方はインフレの怖さを知らないのです。

インフレの怖さ、戦争の恐ろしさを知っている
最低年令が私の年代だと思います。
総理もお若いから体験はないと思います。
2%でピチッと止まるインフレなんてあるんでしょうか?
その辺が私には今ひとつ分かりません。
聞きたい人はみんな死んでしまい、
誰か分かる方、教えて下さい。






 『イセザキ書房TV②』
毎月配信中です。ぜひ、ご覧下さい。
タイトル「イセザキ書房TV②2013/06/05」を
クリックするとYouTube内の当店のページへ
移動する事ができ、今までのすべての動画を
ご覧いただけます。
そちらもよろしくお願い致します。




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2013年6月15日土曜日

紙に印刷された本を読みましょう




『イセザキ書房TV②』
ぜひ、ご覧下さい!






鎌倉も逗子も横須賀も 
       想い出は みんなみんな 若い私

懸命に ひとつひとつを学ぶこと 
            楽しく夢も 大きくふくらむ

八十の今になっても我が夢は 
            まだまだふくらみ 希望は大きく

我が腹を 痛めて産みし一人の息子(こ) 
            結婚すればその妻のもの

八十の歳になりても命がけ 
            目的に向かって 我は進まん



  




 ★ 私が今週読んだ本と読みかけの本 ★



 『専門医に聞く 腰痛』
日本文芸社
大沼 寧 著

定価¥1200が
   ↓
¥588に大幅値下げ!











『何が日本の経済成長を
止めたのか』
日本経済新聞出版社
星岳雄 /
アニル・K・カシャップ 著

¥1900+税










  
『しくみづくりとイノベーション』
ダイヤモンド社
電通コンサルティング 著

¥ 1600+税












 
『夢幻花』
PHP研究所
東野圭吾 著

¥1600+税















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2013年6月8日土曜日

みんなみんな幸せになろう!

 時代はどんどん変化している。
というよりも、動き続けている。
私の携わっている本屋はどうだろう。
60年前とどこがどんな風に変化しただろう。
出版社の事は、分からない。
販売の第一線の事だけである。
毎朝、雑誌や書籍が送り届けられる。
私の店は、午前1時頃やってくる。
シャッターの開く音で
「あぁ、トーハンさんの車が来たな」と。
その時間、私は未だ机に向かって何かを
やっている時間。
それから、お風呂に入り、寝床へ入る。
誘眠剤を飲んでから。
早く眠りにつきたいので。

そして朝。
開店してから配達の店長は出発し、
パートが送り届けられた雑誌や書籍を
陳列しながらレジ前に立ち、お客様を待つ。
細かな変化はあったが、流れというか
基本的な仕事は全く変化させていない。
私は、残る時間が少なくなってから
変化させようといらだってきた。

時計もカメラも不要になったという時代に
本屋だけは店の数が減ったり、
床面積が小さくなったりするばかり。

方や、本を読まなくなった人が増えて来た。
私の店は立地もよくないせいもあるが、
若い女の子などほとんど来てくれない。
主として30~50才、あるいはそれ以上の
男性が中心。
私の読みたい本もその辺に委縮している。
孫の年令のような学生アルバイトの子が
少しずつ変化させようとしているのを感じる。

もうこの時代は、歩みを止めてはいけない。
一歩でも半歩でも前へ進むべく
努力しなくては生きてゆけない。
みんなみんな幸せになるために
大企業だけでなく零細企業こそ考えてゆこう。
国家は、零細企業を助けてくれない。
つらくても苦しくても自分の力で。
紙に書かれた本を1冊でも多く
読んでいただけるよう努力したい。






▼「イセザキ書房TV②」できました!
YouTubeでかみしばい『ももたろう』の
読み聞かせもご覧いただけます。 ▼




▼ こんな本を読みました。
皆様にもお薦めいたします。▼


『その気の法則』
ダイヤモンド社
西田文郎 著
(¥1200+税)
『あなたの運は
もっとよくなる!』
三笠書房
浅見帆帆子 著
(¥1300+税)

『「運にいいこと」
だけをやってみよう!』
三笠書房
佳川奈未 著
(¥552+税)



















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2013年6月1日土曜日

私は幸せでした

私が成人して、80才になるまでの約60年間、
ほとんど働く時間でありました。
決して生易しい生活ではありませんでした。
特に、横浜に出てきて、
昭和31年にイセザキ書房を開店してから
20年間位は先ず順調に生きてまいりましたが、
昭和の時代が終わり、平成になってからは
次々に新しい仕組みがあらゆる分野に
出てきて、零細書店も一日一日苦しい道を
歩まなくてはなりませんでした。

色々な人々にお世話になったり、
協力したりしていただきながらも
前進しているという実感が薄れてまいりました。
私自身も年齢を重ね、楽しい毎日では
なくなりました。

だけど、だけど、私はとても幸せだったと
今、思います。
それは60年間、戦争がなかった事です。
日本に関わる戦争がなかった事です。
苦しい道は色々あるけど、
戦争ほど酷いものはありません。

60才以下の方には理解が難しいと思いますが、
空襲の中で火の中を防空頭巾かぶり
「もう死んだ、もう死んだ。」と思いつつ
逃げまどった本土空襲。
そして、父を召集兵にとられ、
戦病死という事になり、母一人に五人の兄弟は
育てられた日々。

戦争とは第一線だけではありません。
国民という人間全体が苦悩のるつぼに
投げ込まれる事です。
その戦争が一度もなかった事は
日本人は幸福であったと思うべきだと
80才になった今、静かに考えております。

何が怖いと云っても、
戦争は一番苦しい、苦しい生き様です。
戦争には勝者も敗者もありません。
戦争がなかった事に、私はいつも神に深く
感謝しております。






~ 『原色魚類大図鑑』好評発売中! ~








YouTube『イセザキ書房TV①』
今回は、京浜急行「黄金町駅」からイセザキ書房への道案内と、
社長の佐藤による店内のご案内(前半)です!
毎月1回、様々な情報をお届けします。
よろしくお願い致します。













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2013年5月25日土曜日

父上様と私 ~ No,2 ~


父上は、30才も過ぎた自分のところまで
召集が来るとは考えていなかったのね。
九州の母の姉の息子は、特攻隊で
死んでゆきました。
世相は、「日本は戦争に絶対に勝てる」と
未だ思っていたんですね。
大本営発表は、本当の事を発表しなかったから。

でも現実は、違っていました。
学生から中年の男性まで、もう片っ端から
戦争の場へ送りだしたのですね。
武器も持たさず、飲み物・食べ物も与えず。
父上が津田の駅頭で挨拶した時、
他の4人もみんな妻子のある人でした。
あぁ、あの挨拶。
父上最高ですよ。
素晴らしい挨拶でした。

私は、それでも小学校3年生だったから、
はっきりと覚えています。
しかし、妹2人、勿論、弟2人は、未だ赤ちゃんと
3才だったんですもの。
覚えているはずもありません。

父上がいなくなってから、弟2人は祖父を
父親代わりに思っていたようです。
祖父が亡くなった時、大学生であった下の弟が
ものすごく激しく泣いたと聞いています。

私は、祖父の時も、祖母の時も
大恩のある人だから、せめて別れには
行きたかったが、亡き夫には
「行く必要はない。」
「行くなら離婚して行け。」と云われました。
亡き夫は、厳しいとかきついというのではなく
情の薄い男でした。
これも私の運命。

私が小学校2年生の時、学芸会に出演した折、
父上はちらっと見に来ましたね。
「吉光さん。あんたのとこの娘、よう出来るというし、
先が楽しみだね。」と
云われて恥ずかしそうにして帰って行ったのを
私は知っていました。

父上様。
私は小学校の時も一番で卒業。
それから、高松高女へ行こうとしたが、
屋島の登おじさんから
「高女は焼けてしまって授業が出来んぞ。
津田女へ行った方がよい。」 という
アドバイスを得て
当時は未だ、大川女学校と呼ばれていた
学校へ入学しました。

合格発表の日。
母が18番という私の受験番号を探していたら
知り合いの教師に会い、
「18番ありますか。」と聞いたら、
「名前は。」「名和智子です。」
「あぁ、名和は一番で合格したから
入学式の日に誓いの書を読むはずです。」
との事。
嬉しいのか何か分からず家に帰り、
「おばあさん。智子は一番で入学していたよ。」
と声を弾ませて告げた。
「当たり前だよ、智子なら。」
と祖母は当然の事のように淡々と答えたらしい。

入学式当日。
誓いの言葉を読んだのが、
私が生まれて初めて、大勢の前で、
自分の声を披露した時であった。

父上が野垂れ死にしているとは未だ知らず
父上が帰って来たら、すぐに話して
「京大へ行きたい。」と頼もうと考えていた。
しかし、その年の夏のある夜。
夜9時過ぎた頃に役場の人が3人来て、
父の戦病死を知らせて来た。
思いがけぬ大仰天。
私は涙も出なかった。
唯、母がよろけるように何時間も泣いて泣いて。
私は母に云った。
「泣いても駄目。しっかりしてよ母さん。」
その泣き叫ぶ母の背中を
神戸から焼け出されて津田に来ていた
母の姉が、何時間も母の背中に
涙を落しながら、母の背中をなでていた。

その光景も昨日の事のように
私は覚えている。
一家の柱を失った名和家の悲痛の戦いが
ここから始まった。

安倍総理にも、
私が、これから書く文章を読んで
欲しいと思う。 
そして、憲法改正を考え直して欲しい。

つづく・・・。





































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2013年5月18日土曜日

父上様と私 ~ No,1 ~

私は、父 名和吉光と日出子の間に
長女として生まれた。
父23才、母22才。若い夫婦の子供だけど
祖父母にとって初孫だったので
とても大事に育てていただけた。
その後、1年半おきに妹・妹・弟・弟と
5人の子供が生まれた。
大きな飯台に周りに、祖母と母、
その降り角を越えて本延、敏延、
その降りを越えて父が真ん中にドンと座り
時々、赤ちゃんに近い敏延を抱き
口に食べ物を持っていきながら、
「うまいの~」と云いながら夕食をとっていた。

祖父は、別膳でおかずも一番良い所をつける。
そして、一合瓶で温めた日本酒を飲みながら、
「智子、飲んでみろ。」と云って、
時々杯を後ろからまわしてくる。
最初はちっとも美味しくないと思っていたが、
何年かするうちに日本酒の味が
分かるようになった。
今でも、私はどんなに暑い日でも
日本酒は熱燗にする。
近頃、もう80年近く前の事を思い、
独りで味わう。

あの暑かった日々の夕食、
9人寄り添って食べた日を思い出す。
私は年を重ねるに従い、思い出の景色が
鮮やかになり、私の一生のうちで
多分一番幸せ時期だったと思う。

一家の権限は、祖父にあったが、
実際は祖母の考え方で家庭はまわっていた。
その頃の父は、5人の子供に取り巻かれて
「子供は何人あってもよい。多いほどよい。」
なんて云いながら、足の裏にのせたり
肩車に
したり、子供を叱ったという事は覚えがない。
母は毎日毎日、風呂場の横で何時間もかかって
洗濯をしていた姿ばかり鮮やか。

母の実家は、商人だったので
充分な女の仕事や稽古もせず結婚したため、
何かにつけて出来が悪いと祖母に叱られていた。
私は、母が叱られるのが一番悲しかった。
私を叱って欲しいと何度思った事か。

そのうち、神戸の母の姉の家へ
縫い物や家事の練習のため、1ヶ月位行って
来たように思う。
私もこの神戸の叔母から、花、茶、習字、
時には琴も教えてもらった。
士族の家に養女にやられた叔母も、
若い時には相当仕込まれたらしい。

以来、私や妹、弟の着る物は母の手によって
作られた。母は、洋裁学校へも通っていた。
祖母はケチンボだけど、習い事にやるのは
とても積極的だった。
私にも琴を習えといって積極的に協力してくれた。

風通しの良い玄関で、隣のお兄さんと父が
話していた。
「お前、馬鹿な事を云うんじゃない。
靖国で会おうなんて、そんな事云って特攻に
行ってはいけない。
お前のうちはもう兄貴2人戦死しているんだぞ。
両親の事はどうするんだ。
飛行機はいいけど、突撃隊で死んだりするなよ。
生きて帰って来いよ。」

父の言葉が何年もしないうちに
我が身に降りかかろうとは誰も思わなかった。
「靖国で会おう、そんな事云ってどうするんだ。」
それは、父上様、貴方へのメッセージとなって
しまいました。

つづく・・・。




                           
                     『イセザキ書房通信』Vol,11
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