2007年11月13日火曜日

私は正しい日本語を売る言葉屋でございます

子供版 声に出して読みたい日本語(全12巻)
斉藤孝/編
下田昌克/絵
草思社発行 
1冊1050円(税込み) 全巻12冊12600円(税込み)

この中の本一冊でもいいから大きな声を出して読んでみて下さい。
すてきな日本語がいっぱいつまっています。
目読しないで声に出すことによって言葉の意味、美しさ、やわらかさ、強さが体中に伝わってきます。
声に出して読んでいくうちに心の中にしっかりと定着して読者のよろこびがわいてきます。
何回読んでも飽きません。
読めば読むほど好きになるはずです。

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一巻 宮沢賢治
「どっどどどどうど 雨ニモマケズ」
・雨ニモマケズ 風ニモマケズ 雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ
<音読で賢治のリズムを体に入れてみよう>
賢治の文章は声に出して読むと、いっそう味わい深くなる。
読んでいてこちらのからだに賢治のからだが乗り移ってくるようだ。
賢治は散歩しているときに、ときどき「ほっほー」と叫んで飛び上がったそうだ。
花巻農学園の教師を辞める頃に書いた言葉の中に「鳥のように・・うたってくらした」とある。
賢治の言葉は鳥のように、生きていたリズムに満ちている。(解説より)


二巻 俳句
「柿くえば 鐘が鳴るなり」 
・柿くへば 鐘が鳴るなり 法隆寺 (子規の句)
<家族で俳句を作ってみよう>
良い句は誰にでも、情景が浮かんでくる。
そんな風景を見たことがなくても、どこか夢の中で見た気がする。
それを覚えてしまい、何度かつぶやいてるうちに、そんな経験をした事があるような気になってくる。
それが言葉の力だ。
この本で子供が俳句に慣れたら、ぜひ家族で俳句を作ってみてほしい
言葉を選ぶ作業が楽しいのだということを伝えてみてほしい(解説より)


三巻 論語
「朋有り 遠方より来たる」
・子 曰く吾れ十有五にして 学に志ざす。
三十にして立つ。 四十にして惑わす。
<腰を立てて背筋を伸ばして論語を声に出そう>
論語を読むと自然に背筋が伸びる。
寝っころがって論語を声に出すのは恥ずかしい。
あぐら座りで読むのも、なにかおかしい感じがする。
正座して腰を立てて背筋を伸ばして、はっきりと大きな声で読んでみる。
そうすると、ちょうどしっくりくる。
小さい頃から論語を体の中心に入れておくことはきっと、のちのちの力になる。


四巻 近代史
「朝焼け 小焼けだ ゆあーん ゆあーん」
・朝焼け小焼けだ 大漁だ 大羽鰮の 大漁だ  金子みすず
<感情の海を作る>
幼児のころに小学生時代には、とりわけ感情の海を豊かに満たしていくことが、
なによりも大切だと私は考えている。
感情の海をつくるには、近代詩の暗しょうが効果的だ。
詩人の言葉には、こまやかで複雑な感情がギューっと詰っている。
何度も声に出して読み、覚えてしまうことで、生涯にわたってその言葉が感情の世界の湧き水となる。
詩人の言葉を声にだして読み、覚えてしまうことで、感情の資源をいくつもつくってもらいたい(解説より)


五巻 言葉あそび
「ややこしや 寿限無 寿限無」
・せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろ これぞ七草
<寿限無>
日本人の感覚は、なによりも言葉を通じて世代から時代へと受け渡していくことができる。
言葉遊びには、自然に言葉で遊ぶうちに、伝統の世界になじんでいくよさがある。
この本の使い方としては大人が「おっと合点」といったら子供が「承知之助」と応えるといったように、掛け合いでやってもらうのも楽しい。
言葉遊びを身につけて、心をいつもカラリと晴れた上機嫌の状態に持っていく技としてほしい。(解説より)


六巻 古文
「春はあけぼの 祇園精舎の鐘の声」 
・祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。
裟羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす
<子供はほんとは古文好き>
古文の世界に、幼いころからなじんでおくのは、言語感覚を育てるうえで大切なことだ。
「子どもに古文はむずかしい」というのは、子どもをよく知らない大人の勝手な考えだ。
子どもをみくびっていれば、子どもはそれなりの力しか出さない。
古い日本語の最高のものを子どもに直接ぶつけていけば、子どもは必ず反応する。
それほど、子どもの感性はたしかなものだ。
自分のからだの中に、日本の伝統を千数百年分、埋め込んでいく。
これは実に壮大なる楽しみだ(解説より)



七巻 近代文学
「メロスは激怒した 我輩は猫である」
・我輩は猫である 名前はまだ無い  夏目漱石
「どこを切り取ってもやっぱりいい そこが名作」 私は頭がいいとは文脈力があることだと考えている。 物語の一部を読んだだけでも、その物語の世界全体を想像できる。 そんな想像力が生きていく力となる。 誰かと出会って少し話をしただけでも、その人の世界や人生を想像できる。 そんな文脈力を鍛えるには近代文学は一番のメニューだ。 親子で「このつづきどうなるんだろうね。」といった話をしてみてほしい。 「なんでこんなことをいっているんだろうね」といった質問でもいい。 状況を推測しながらイメージを膨らませてほしい。土屋久美子さんのオリジナリティあふれる絵は、想像力を刺激してくれるだろう(解説より)


八巻 石川啄木
「われ泣きむれて蟹とたわむる」
・ふるさとの山に向かいて 言うことなし ふるさとの山ありがたきかな
<センチメンタルな気持ちを啄木先生から吸収しよう>
子ども達には啄木からセンチメンタルな気持ちをまなんでほしい。
傷つきやすく、ときにいい気にもなってしまう率直な心の揺れ動きを啄木と分かち合ってほしい。
私自身、中学校の時に覚えた「こころよく 我に働く仕事あれ それを仕遂げて死なんと思う」という歌にずっと励まされてきた。
子ども達の心の中にもセンチメンタルなあこがれの種がまかれることになれば、うれしい。
小林治子さんの絶妙な、おかしみのある絵は、啄木との出会いとして最高のものではないかと思う。
新しい啄木像を小林さんの絵で味わっていただきたい。(解説より)



九巻 漢詩
「国破れて山河あり」
・国やぶれて山河あり 城春にして草木深し
<漢詩に暗誦して日本語の背景を作ろう>
私は高校生の時に漢詩が好きになった。授業で漢詩を暗誦し最後に自分で漢詩を作った。
一つずつ覚えていくとなんだか得したような気分になった。
二十年以上もたったいまでも、そのとき覚えた漢詩を口ずさむことができる喜びはいっそう大きい。
私はできればこの喜びを幼児のころから味わってほしいと思った。幼児や小学生の心に漢詩がカルシウムになって入っていき、日本語の背骨となってほしい。
言葉のうえだけの問題ではない。
漢詩の力強くリズミカルな響きが、心の芯の強さも作る。私はそう考えている(解説より)



十巻 歌舞伎 狂言
「知るさあ言って 絶景かな」
・赤城の山も今夜かぎり
石川や浜の真砂はつくるとも 世にぬすっとの種はつきまじ  国定忠治
<恥を捨てて大胆にセリフをきめてみよう>
この巻にはいっている言葉は、みんなセリフだ。
セリフらしく音読するにはまず恥を捨てることが必要だ。
幸い子どもは恥ずかしがり方が大人より少ない。できるだけ大げさにやるのがコツだ。
わざとらしくオーバーアクション気味に腹から思いっきり声を出す。
少し驚いたくらいの事でも腰を抜かすほどビックリしたようにやる。
そうすると変に恥ずかしがっているよりはずっと様になってくる。
人前でしっかりと声をだせる勇気を持ちたい。(解説より)



十一巻 落語 口上
「いま 何時だい? がらぴい、がらぴい、風車」
・私、生まれも育ちも葛飾柴又です。
帝釈天で産湯をつかい、姓は車。名は寅次郎  男はつらいよ
<「意味もなく上機嫌」の心意気を見につけよう>
落語は日本が世界に誇る話芸だ。語りの雰囲気を出しながら声に出して読んでほしい。
一人で人物を演じる前に、親子で二人の人間を演じてもいい。
交互に読むことで会話のリズムが生まれてくる。口上は人の心を楽しくさせる日本語だ。
道行く人の足を止めさせてつい聞き入らせてしまう言葉の力。
これはまさに芸術の声だ。落語と口上は日本人の上機嫌ぶりが詰った話芸だ。
この本を何度も声にだして日本人の得意技である上機嫌力を身につけてほしい。(解説より)



十二巻 名言
「秘すれは花なり」
・初心忘れるべからず 
秘すれば花より 秘せずは花なるべかず
<名言はあとからジワジワ効いてくる>
覚えやすく、どこでも使いたくなってしまう、深みのある言葉。
それが名言だ。名人・達人の言葉を聞くのが私は大好きだ。
子ども達にもぜひ色紙に言葉をかかせてみてほしい。字のうまい・へたは関係ない。
勇気をもって書き入れる。そうすると、言葉が自分のものになってくる。名言は、記憶して日常のいろいろな機会に思い出すからこそ価値がある。
色紙に書いた言葉はそう簡単には忘れない(解説より)

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一冊、一言葉づつ書いてみました。
子ども版とは言え大人が読んでも十分読み応えあり、その言葉の調子の良さに日本語の美をきっと発見する事でしょう。
この本を大きな声を出して読んでいくうちに私は本屋ではなく言葉屋だと思いました。
声に出して読む本、大人用も5冊出ておりますが、まず子ども版からどうぞ。

詳しい情報は草思社まで
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