2007年11月18日日曜日

柴田翔の「されどわれらが日々」の時代にもう一度会いたい

されどわれらが日々

「されどわれらが日々」

著者 柴田翔

出版社名 文芸春秋
出版年月 2007年11月
税込価格 560円
頁数・縦サイズ
269P 16cm




新潮文庫から柴田翔の「贈る言葉」が出た。なつかしい一冊だ。
1966年10月10日発行となっている。1969年13刷。
1969年とは大学紛争が全国で激化し東大の入学試験が中止になった。
その年の暮、芥川賞作家として「されどわれらが日々」で鮮烈に文壇にデビューした柴田翔という作家にのめり込んでしまった。
私はすでにその時本屋をやっていたので一番好い場所にこの「されどわれらが日々」を並べて買っていく読者を眺めていた。
街中の学生など少ない立地だったのに私は一生懸命に自分の読後感を話して無理矢理買わせた日が昨日のように思えて来る。

いかに生くべきか。いかに人を愛すべきか。
答えられないこのテーマを柴田翔の作品の中に求めて次作を待ちに待ったものだ。
人を愛し、愛されひたむきに生きてゆく若い世代の苦しみながら、もがき続けながらそれでも真面目にひたむきにひたむきに努力してゆく人間の生き方に私は魅せられてしまった。
でも、この何十年かほとんど小説を書いてくれない。
大学教授になってしまった。
昭和10年生まれだったからまさしく私と同世代。もう70才をすぎているだろうけど私の心の中の柴田翔は今も20才代。
そしてひたむきに恋をし、ひたむきに理想に向かって生きている青年である。
東大紛争の犠牲になって亡くなってしまった樺美智子さんも生きていたらもう70歳代になっているだろう。


若くて理想の炎の中に燃え尽きてしまった。
彼女が素敵に見えて懐かしい。
あの頃がよかったとは云えないけれどもし再一度生きられるなら柴田翔が「されどわが日々」」を書いた時代に生きてみたい。
私の心の中の青春の炎は消える事なく今も燃え続けているようだ。





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