2009年2月14日土曜日

がんばらないで!はり切らないで!

私は昨年11月下旬「腰部脊柱管狭窄症」の手術をして入院生活一ヶ月で退院した。
嬉しさと”やった!”という気持ちですぐに普通の生活が出来るものと思い喜び勇んで帰宅した。ところが店の中で5分と立っているのが難しく足が痛くて腰が重くて体が思うように動かない。
これはどうした事かと思いすぐに主治医に相談した。
「ご苦労様です。退院してから一ヶ月間位は何もせずに少しづつリハビリをしながら静かにしていなさい。二ヶ月位からぼつぼつ軽い仕事を出来るものだけして三ヶ月間位は通常の動きはしてはいけませんよ。はり切ってはいけませんよ。がんばらない。はり切らない。それを実行する事ですね。」と注意を受けた。
「急がないでゆっくりと養生しましょ」と云われた。
この内科の主治医は私の生活環境も知っている。私の性格も承知している間柄。

え?何という事だ。私の生活から”がんばるな” ”はり切るな”と云われたらもうガックリ。
がんばる事で希望に向って歩み、はり切って仕事するのが私の生きがいなのに。
私はあぁもう仕方がない、病気を治すために我慢しよう、我慢しよう。
がんばらない生活、はり切らない日常は私には考えられない事だけど。
がんばって、はり切って勢をつけて毎日を過ごす事で私の日常生活はうまくバランスがとれていたんだけど。
仕方ない。この際、普段あまり開いてみない雑誌を手にして眺めてみよう。先ず編集長が変った"暮らしの手帖"を開いてみる。
あっ、変化している。カラーが明るくなっている。
花森安治の香りは無くなってしまっている。
とにかく明るく輝いているのにビックリする。
それから”旅”交通公社から新潮社へ。変ってからなんとなくまとまりのない中途半端な雑誌だった。
今月号を開いてみると、ドイツ特集であった。単なる旅のガイドブックから脱皮してドイツの道具、食べ物、街の姿。すべて読んでみようと思わせる仕掛けが出来ている。(先月は香港だったらしいが。)楽しい雑誌、役に立つ雑誌に変身している。

少し縁遠くなっている雑誌の本も楽しんでみよう。一番手前にあったオレンジページを開いてみた。一頁、一頁役に立つ記事が満載。価格も安くこれはオススメ品だと嬉しかった。
”がんばるな” ”はり切るな”と云われた言葉が私の心のを少しゆるやかにしたみたい。近所の花屋へ足を運び両手に抱える程花を買って来た。
蘭ピンクと黄色。スイートピー、菜の花、ストックカーネーション、菊も一本、薔薇、グロリオサ、それから、かすみ草をバックに。早咲きの桜も3本。
亡夫の仏壇にはあふれるように花を供えた。二月の桜、何と思って見てくれただろう。ゴザを敷き足が痛くないように、テーブルと椅子を準備して花バサミを出し花器の選定。
桜は濃いブルーのガラスの花器に生花として生けてみた。枝を切るパチンというハサミの音色が久々に心にしみる。床の間にすえてみるとなかなかうつりが良い。
玄関には小さな”投入れ”にしてカーネーションと薔薇、かすみ草を一本添えてみた。花の前を椅子に座って眺めていると障子からさし込む西日がとても穏やかでくつろがせてくれた。
私は洋間だけどベランダの間の建具は線の多い障子を入れてある障子から射し込む陽がとてもやわらかで好きだから。
それからベランダへ出る、空は青く夕陽とのコントラストも最高。

21才になる孫が2才の頃、よく抱いて「電車が来たよ、見えるでしょう」「あっ行っちゃったね」と云いながら孫の頬に顔をくっつけて眺めたものだけど現在、周囲はビルだらけになり私のビルの4階からは桜も電車も見えなくなってしまった。
そして孫は大人に成長し私は75才のおばあちゃんになってしまった。

でも空だけは昔のまま変らない。
がんばらないで、はり切らないで生きるという事は本当に難しいなぁー・・・とつくづく思う。


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1 件のコメント:

あじさい さんのコメント...

はじめまして。名古屋の57歳の
主部です。ブログやミクシー
やってると「おばさんが?」と
驚かれますが、75歳で
ブログのセンパイが。
まだまだ私も勉強です。

退院おめでとうございます。
ゆっくりリハビリしてください。