2010年5月15日土曜日

電子ブックは「黒船」か

時代は駆け足で動いている。
否、今度出来た東北新幹線を
走る予定の”はやぶさ”のように走っている。
私は70余年生きて来て戦争も知り敗戦も体験し学校制度の変化のど真ん中を駆け抜けてきた。
結婚してからは、アメリカ海軍の軍人やセーラーを相手にする書店を営んだ。 その後
駐留軍景気も下火になった昭和30年暮、私達夫婦は横浜伊勢佐木町で今度は日本の本屋を始めた。
以来、嬉しい事、楽しい事より苦痛の日々の連続だった。
売れる本を仕入れる為にどうするか、読者に目をとめてもらうにはどうするべきか、セミナーにも何十回も出席した。(書店の経営を良くさせるためにどうあるべきか)というテーマばかりだった。
2.3年は新鮮な思いで話を聞いた。
しかし最後の頃には、
「そんな分かり切った事をまた話すな」
「それで成績があがるなら貴方実験してみてよ」
と思うようになった。
もう私は本屋のプロです。

理論を並べられても鮮度はまったくなくなった。
要は商(アキナイ)とは人間と人間の信頼の出会いであるという事を苦しみながらつかみとった。

しかし、しかしである事がやって来た
これは黒船なのだろうか。どうなのだろうか。
昭和人の私には非常に困難なテーマにぶち当たった。

電子ブック

この出現はセミナーもなければノウハウもない。
突然とは云えないが今あらゆる場面で準備動作をしている。
極端に表現すれば、携帯が出現した時がその第一歩だった。

携帯は人間生活のあらゆるものを、あの小さな箱の中に詰め込み始めた。
そして今「i phone」と「i pad」という二通りの魔法の小箱が世に出てきた。
この二つの比較は私の現在の能力では無理。
元来人間は無精者に出来ている。
出来る事ならじっとしていてすべての楽しさを手にしたい動物だと思う。
この魔法の小箱は次から次へと人間の本能を刺激して新しい物や動きをこの小箱の中へどんどん入れる。全く新しいビジネスを生んでくれた。
私は昭和人(昭和30年以前に生まれた昭和時代)なので日々、大手を拡げたまま何をするべきかよく分からない。

しかし何か得体の知れない電子ブックというものの出現は本屋の末端の人間として本気にならざるを得ない。
現物を手にとって読んでみた。
私は日本語は読めるので紙であろうと「i phone」であろうと読めるのは当然だ。
しかしこれから文字を習い言葉を覚えてゆく子供達はこんな得体のしれない物で学ぶ事は出来るのだろうか。
日本には地球上どこにもない素晴らしい文化があります。
それは、漢字(読み方によっては意味が異なる)ひらがな、カタカナが組み合わされて素晴らしい文章に育っている。出版社が 作家を育て 出来あがった 本 の一頁一頁が 印刷の紙の香りと共に 読者を
魅きよせる。そうして出版文化は研ぎ澄まされ、日本人の心を育てて来たのだと 私は信じている。且つ
美しい日本語の文章を自分で書くことも素晴らしい。俳句 短歌 詩 そして エッセイ。
道具も揃っているではないか。
鉛筆・ボールペン・万年筆・毛筆という立派な用具もある。

私は昭和人ですからネットの便りは好みません。
私の下手なりに個性のある文字を連ねて相手に私の思いを伝えたい人間の一人である。
私の字のくせも一緒に読んでほしい。
ネットではそれは出来ない。
だから、余程急を要するものとかビジネス上の文章はネットを使用するが極端な表現をすれば(恋文)はネットでは書けないだろう。
もう書くチャンスもないだろうけど。

そんな事はないと信じているが電子ブックばかりになったら私は生きる力を失うだろうと思う。

みんな世界は様々な変化の中でそれに対応すべきだと思う。
しかし日本文化は紙でないと私は納得しがたいものがやはりある。

電子ブックは電子ブック。
紙の本は
という形で世の中に進んで行ってもらいたいと切望する。
又、時をおいて再度この件は書くことになると思う。



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来る5月29日(土) 午後10時~11時に
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