2007年12月16日日曜日

山本周五郎からカバーのかけ方をを学んだ日


私が書店を始めて5年も経っていなかった頃、黒いマントを羽織り下駄履きの60才になるかならないかの男性客によく来ていただいた。
いつも一寸イキな中年女性と共に。
ある日「今度、講談社から出た日本(月刊誌)はよく売れていますか?」と問われた。
私は正直に「あまり売れてはいません」と答えた。
又ある日「本を一冊注文したいんだが」と云われ注文台帳に記入しながら「お名前は?」と聞くと「山本です」と云われこの客の顔をまじまじと眺めた。
いつか雑誌に出ていた山本周五郎そっくりではないか。
でも私は「はい、分かりました。3日程で入荷いたします」と云って受注した。
そしてその本をとりに来られた時「カバーをかけましょうか?」と云って私流に本にカバーをかけた。
「本屋さん、まだ若いから教えてあげましょう。本のカバーはね、こうしてかけるんんですよ」
と云って御自分でサラサラサラと手品みたいにピシッとしたカバーかけを見せていただいた。
うわぁーっと私が驚いていると「これからこうしてかけてあげると読者は本をいつまでもきれいに読めますよ」と云われてしまいました。
私は思い切って「もし間違っていたらごめんなさい。山本周五郎さんでいらっしゃいますか?」と聞くと「ハイそうです」とふっと笑って帰られた。
それから山本周五郎の単行本は平台に積み上げて沢山売れるようにして売った。
私も読んでみると時代小説だけど恵まれぬ心優しい庶民が主人公で人間味あふるる読もので面白い。
よく売れた。
聞けば山本周五郎は間門の旅館が書斎であったらしい。
当時は大書店もなく私の店をとてもよく利用して頂いた。

何年間くらい足を運んでいただけただろうか。
40年以上も経った今も山本周五郎式のカバーをかけて読者に渡しております。
全国の書店でもこの方法を利用している店はあまり無いだろうと思うけど、私はずーっと続けます。
その方法を参考までに写真にとって見ました。みて下さい。
ご来店頂いたお客様には私がレジにいる限りこの方式でおかけいたします。


「日々平安」が映画化されたせいかよく売れるので山本周五郎という作家とのふとしたふれ合いをなつかしく思って書いてしまいました。
周五郎の主な作品は下記の通りです。
みんなとてもほのぼのとして面白いです。

ぜひ読んでみて下さい

:::主な作品:::
すべて新潮社より



「日本婦道記」(1942年)
税込500円

「寝ぼけ署長」(1948年)
税込580円

「栄花物語」(1953年)
税込860円

「正雪記」(1953-1954年.1956年)
税込940円

「樅の木は残った」(1954-1958年)
税込660円

「赤ひげ診療所」(1958年)
税込580円

「天地静大」(1959年)
税込900円

「五瓣の椿」(1959年)
税込540円

「青べか物語」(1960年)
税込500円

「季節の無い街」(1962年)
2100円

「さぶ」(1963年)
税込660円

「ながい坂」
税込780円

どれも全部とても面白い素敵な小説です。
ぜひ読んでみて下さい







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