2011年3月19日土曜日

怖かった3.11地震から学んだもの

3月11日(金)午後、私は近くの医院で点滴を受けていた。
ベットがぐらぐら動くのでヒヤッとした。
誰も平気な人はいないけど、私の地震恐怖症は並みはずれている。
よくお客さまに「地震が来るとイセザキ書房のママどうしているかなと思うよ」と云われるくらい。

そのうち隣のベットの人が「地震だわ」と云うや否やゆらりゆらりといつまでも揺れる。
私は怖くなって点滴をはずしてもらい側にあった机の下へもぐりこんだ。
まだ揺れている。怖い怖い、どうしよう。どうしようもない。
看護士さんは私よりずっと若いのに平然としているではないか。
そのうち何かガラスケースがガチャーンと倒れ中に入っていた薬物類が散乱した。
若い看護士さんが応援を呼び揺れる中で整理をはじめている。

私はただ、ただ机の下で「ヨナオレ。ヨナオレ」と子供の時に覚えた祈りの言葉を繰り返していた。

そのうちテレビがかかった。
震源地は宮城県沖。東北地方らしい。
テレビの中の様子がおかしい。
沖のほうからゴーと云うかウォーと云うか音がして海の水が陸地にあがってきた。
(私は津波なんて見たことが無かった、海育ちの人間だけど瀬戸内海なので台風は怖かったが津波は知識で知っていただけ。)

波なんていう生易しい表現では云えない。
海が町へなぐり込んで来たとでも云う姿で、海が広がり陸地が無くなってしまった。
そして海の水は陸上のすべての物、家も樹も車も人もさらって沖へ引いて行った。ほんの一瞬、
車はまるで虫けらみたいに見えた。
残ったのは高い建築物が1つか2つあったのみ。
後は何も残っていない。
ああ大勢の人が波にさらわれたなと胸がドキドキしてきた。

その間も余震は絶え間なく起きていた。
病院の先生が2階にあがって来られ「佐藤さんは?」「はいここにいます」
と云ってテーブルの下から返事をした。
先生は笑った・
何人か居たけどテーブルの下に入ったのは私一人。
残りの点滴をすませる間もグラグラ揺れえる。
早く店に帰らなければと残りチョッピリ残して抜いてもらった。

その日の店にはしっかりとした人間が残っていたので棚から落ちた商品の片づけも仕上がっていた。
女子社員の云うには「電柱が今にも倒れそうに揺れて怖かったです」
大学生の孫2人も両親不在だったけど持ち出す物を準備して待機していたらしい。
70過ぎの私よりしっかりしていた。

私の家も店もたいした被害は無かったが、その後のニュース(NHK)の様子では未だかつてない大地震であったようだ。
マグニチュード9.5.
その過中にいた人はどんなだっただろう。
こんなに離れた横浜でもあんなに揺れたのだから。

そして一週間経った。
もう仕事どころではないとは云え開店している以上、お客様は来店する
私は頭に帽子をかぶって仕事をしている。
いつどこから何が落ちてくるか分からないから。

私は今回、強く思った。
人間は科学の進化で日進月歩で世の中が変化している。
便利により便利になっている。
私の子供時代はガスも水道もなかった。
ポンプで水を汲み、マッチで点火した。
時々、停電になる事があって試験の前等ではローソクの灯で友だちと集まり試験勉強をした。
ローソクもすぐに消えてしまうので、缶詰のカンの中へロウを入れ麻ひもを真ん中において火を付けて光を得たものだ。
すると長持ちするので。

そんな時代は遠い遠い何十年も昔の話。

洗濯機、冷蔵庫、ガスコンロ、炊飯器、掃除機、こういう機械を頼りにして私は店と、私生活のバランスをとつている。
これが普通と思っていた。

でも私は今回一番得た事は人間がどんなに進化しても自然のパワーにはかなわないという唯その一言である。
今回の地震のメカニズム等は私には分からないけれど山を切り崩して平地にして住宅地を造ったり超スピードの新幹線を次々と作ったり、山の樹木は手入れもせずに手軽に入手出来る輸入材を使ったり、手間をかける、汗をかくという事を忘れていやしないだろうか。

便利に簡単にする事がベストだという考えが拡がっている。国際的にも。
私もその恩恵にあずかっているのだけど。
人間は一寸ここで歩みを止めて生き物本来の姿に自然の姿にあらゆるものを元へ戻す必要性を強く感じた。

地震の研究、台風の研究は科学者にどんどんやってもらわねばならない。
同時にカラスの住む所も里山に残しておいてやりたいと思います。

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