2011年11月26日土曜日

道なかば

人生の長さは、分からない。
早くして、世の中に飛び出してくる人、
又、稲にも早生,晩生とあるように、晩年になって、
世の中に認められる人、色々ある。

私は、瀬戸内海の蟹甲湾という、漁業の盛んな海辺で生まれ、
小学校4年生の時、父を召集兵としてとられ、終戦の年の6月、
フィリピンのルソン島で、野垂れ死にさせられた。
役所から知らせて来たのは、翌年の初夏、丁度1年経っていた。戦病死となっていたが
何が戦病死か、野垂れ死にじゃないか。
父は、白木の箱になって帰って来た。

開けてみれば、木切れに○○○○の霊と書かれたものが
入っていただけ。
祖父母と母と妹2人弟2人(末弟は、父と生きたのは10カ月)の
8人は、その箱を真ん中にして大声で泣いた。
何時間泣いただろう。
70年近く前の事ながら、私は、一生忘れられない。

父の33年間の人生は、何であったのだろう。
父は、誰に何の為に殺されたのだろう。

私は、なぜか武蔵が、小次郎に勝った時、
ふと、ずっとさきに風車を持った子供を見て(俺は、あの子に
仇打ちされるかも分からない)と、思ったという一節があるが、
私も、女ながらに女だからこそ、父を殺したのは誰だ、
私は、命をかけて復讐しようと思った。
今も思っている。

私の故郷は、三保の松原よりも、もっと美しい。
根上がり松の立派な松林があり、その中央に
氏神様が、祭られている。
夏は、海水浴場として賑やかになる。

秋が来れば、紀州沖のさんま漁の船が、何十隻も出漁する。
更に、今、北方領土と呼ばれている千島列島の方へ鮭鱒漁業の
船が、新造船を作って出漁する。それは、私が生まれるずーっと
前から私の町の一大行事であり、私の町の収入の大半はそこにあった。

私は、今更、ロシアとこの島々について、諍いの起こる事が
不思議である。為政者達 は何と心得ているのだろう。
私が、外務大臣なら、必ず説得することができると思う。
政治家のふがいなさ、歴史に対する認識のなさに、
私は、怒り心頭に達している。

そんな環境の中で、父が、家を出る数日前に云った言葉。
「智子は、長女であり、学校の成績もいいのだから、京大の法科へ
入って、何かみんなの為になるような仕事が出来るようにしなさい。」
私は、父のその言葉をじっと胸に秘めて、母を助けながら、
祖父母の愛を充分にもらって、学業に精を出した。
しかし、土壇場になって、「大学なら家から通える所でないと、
女の子1人など、都会へ出せない。」という、祖母の一言で、すべて終わり。
私は、悔しさいっぱいになった。、それでも受験勉強をやっていた。

そんな時、夫になった人は、大学2年になった時、
家からの仕送りが止まり(兄嫁が経理担当になってから)
仕方なく、小学校の教員免許があったので、アルバイトをしながら、
中大を卒業した。
そんな時、子供たちと三浦半島へ遠足に行った。
この時
横須賀の景気の良さに目がくらんだ(元来、商人の息子だから)
これは、卒業したら、ここで店を開こうと決心をし、
米兵(セイラー)相手の洋書店を開いた。

ところが、手伝わせていた妹が
「大学へ行きたいから、兄さん、結婚して奥さんと2人でやってくれ。」
と言われ、妹は、「私の、一級上の智子さんなら優秀な人だから
兄さんの気に入ると思う。」と言われ、夫も仕方なく実家へ戻って、
年ごろの女性8人とお見合いをした。私もその中の1人。
そして、10項目位に分けて点数をつけ、
「俺は、1番ずば抜けて頭の良い智子さんと結婚する。」と
家長であった長兄に話したが、長兄は、他の人(見合相手の娘の中に県会議員の娘がいた)を
おしてなかなか決まらなかったという事を、ずーっと後になってから
聞いた。
 
私は、幸い、自分に何かを教えてくれるようなタイプの男性を
好んだので、夫になった人との、3時間にも及ぶ見合会見でも
この人ならと、思ってしまった。
一緒に来ていた母と夫の兄嫁が、あまりの長さにしびれを切らしたと
後日、話をしていた。

そうして、決断した男性であったけれど、私の想像以上に厳しい
キツイ結婚生活であった。何でも命令されたことは、必ず完結させねば
ならない環境、苦しかった、きつかった。
でも、教えられる事も多かったので、ここは、勉強だと思って
ついて行った。夫62歳、私が57歳の時、死別した。食道ガン。

いま、36年間を振り返ると大変な戦いであったなと20年近く過ぎた今も思う。でも
その間に、学んだ事は私を大学の学び以上に育てた事も否めない。
その苦労と夫の教育が現在の、
私を支えているのかも分からない。

人生は、生易しいものではない。
自由の裏には、責任が必ずある。
政治家も、国民の事を先ず考えて欲しい。
身内のトラブル調整より、国民の幸せを考えて欲しい。
消費税を上げたら、3分の2の小さな店は沈んでしまう。
それでも、上げるというのなら、国民は立ち上がるべきだ。

私は、何度でも書く。
議員を半分にして、1人当たりの報酬をカットして欲しい。
先日、何かの雑誌で、小沢一郎氏が、「政治家が、全部
素人になってしまっている。」と話していたのを読んだ。
素人をかき集めたのは、どこのどなた様ですか?と
私は叫びたい。
総理大臣が偉いのではない。
いかに国民を幸せに出来たかが、総理大臣の評価である。

道なかば・・・穏やかな社会に貢献できる人間になるべく
努力したい。
私は、その為に、儲からない本屋をずーっと続けて行くつもり。
皆さん、本を読んで下さい。
スキルアップの為の本だけでなく、教養の本こそ力になります。
(東洋経済11月20日号参照)










皆様のご参加をお待ちしております!





-----------------------------------
イセザキ書房
〒231-0055 神奈川県横浜市中区末吉町1-23
TEL: 045-261-3308
FAX: 045-261-3309
www.isezaki-book.comお問い合わせ・ご注文フォーム
にほんブログ村 本ブログ 出版社・書店へ
イセザキ書房オンラインショップ

0 件のコメント: